鷹の黒船右腕スチュワートついに一軍 投球同様に周囲ビックリの「日本語吸収力」

物珍しそうに初遠征のメットライフドームを眺めるソフトバンク・スチュワート

黒船右腕がベールを脱ぐ日が迫ってきた。ソフトバンクの注目助っ人カーター・スチュワート投手(21)が16日、初の一軍昇格を果たした。

2018年に米ドラフトで1巡目指名を受けながら入団せずに、翌2019年に日本球界行きを決断した異色の経歴の持ち主。今季はウエスタン3試合に先発して2勝0敗、防御率1・29の好成績を残していた。工藤監督は「中継ぎで使う予定です」と説明。その上で「前は走者を気にすると制球が乱れていたが、少しずつ改善されてきた。だいぶゾーンの中で勝負できるようになってきた」と成長を評価した。

投球だけではない。周囲を感心させているのが日本語の向上ぶりだ。球団スタッフは「すごくうまくなってきていますよ。ひらがなも読めるようになってきてますからね」と話す。キャンプ中、B組(二軍)選手は練習開始前に1日一人ずつ声出しを行う。その際も詰まりながらも「3年目、カーター・スチュワートです。今年の目標は一軍のマウンドで投げて勝つことです」と懸命に日本語で誓いを立てて驚かせた。

スチュワートによると「オンラインで勉強しました。球場でも(周囲から)日本語を学ぶことができますしね。これからも日本でプレーしていくわけですから」。昨年の自粛期間にスペイン語担当のゲレーロ通訳も愛用しているアプリでオンライン学習を始めたとか。担当通訳も「そのうち僕がいらなくなるかも」と成長に目を見張っている。

米国有望株の前例がない挑戦だ。入団当初、球界内には「米国でも高い評価をされていたプロ経験のない10代の子。異国の地に来て適応しろというほうが難しいんじゃないか」との見立てがあった。そんな中で今では日本での生活になじんできてもいるスチュワート。活躍できる土壌は整っている。

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