フィギュアスケートの世界国別対抗戦(丸善インテックアリーナ大阪)の女子フリーが17日に行われ、全日本女王の紀平梨花(18=トヨタ自動車)が腰の痛みと闘いながら132・39点をマーク。リタイア寸前の危機的状況を乗り越え、激動のシーズンを終えた。
今大会は2シーズン前のフリープログラム「インターナショナル・エンジェル・オブ・ピース」。世界平和をテーマにした曲だった。コロナ禍で異例のシーズンとなったが、その思いを乗せて滑った。
大会直前に見舞われた腰痛のため、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は回避。4回転もプログラムには入れなかった。3回転フリップ―2回転トーループでは転倒もあり、本来の実力とは程遠い内容となったが、何より滑り切ったことが大きかった。
試合後、紀平は「フリップのところがメッチャ悔しいです。せっかく出るって決めて、やるからには決めたかったので、そこはすごい悔しい」と苦笑。さらに「今日(リンクに)来るとき、ホントに最悪は直前に棄権することも考えた」と過酷な腰痛の状況を明かした。
「ショートが終わった後、10分ぐらいしてから歩けないくらい痛みがあって、ちょっと本当に硬直状態にしか立っていられなくて。もうアクセルどころじゃなかった」
非常事態の中で最善を尽くし、今季ラスト演技を終えたことには「何とか滑りきれたことは本当に良かったと思います」と自分を褒めた。
コロナ禍で満足ができない練習の中、異例のシーズンを過ごしてきた。「なんかいろんな感情が混じって。お疲れ様って思うんですけども、やるからには跳びかった」と心残りもあった。しかし、思わぬケガによって練習ができなかったことで、驚くほど体が軽くなった。これには「試合直前に休んで、体の疲れを取るってすごく大事なんだって今回の大会で学べました」とプラスにとらえている。
来季は北京五輪が待っている。トラブルを力に変え、夢舞台に挑む。