国内復帰戦で黒星も田中将大が見せた「一級品の投球」 専門家でも難しい“粗探し”

日本ハム戦に先発した楽天・田中将大【画像:パーソル パ・リーグTV】

2被弾以降はほぼ完璧の投球「“らしさ”は見せてくれた」

■日本ハム 4ー1 楽天(17日・東京ドーム)

楽天の田中将大投手が17日、国内復帰後初の公式戦となる日本ハム戦(東京ドーム)に先発し、5回4安打3失点で黒星を喫した。2012年8月から続いていた国内連勝のプロ野球記録は「28」でストップ。初回の2ラン、2回のソロが響いた結果となったが、それ以降はほぼ盤石の投球を見せた。結果こそ伴わなかったものの、専門家も一級品の投球にうなった。

悔やまれるのは、2つの失投だけ。初回先頭から2死を奪いながら、3番・近藤を四球で歩かせた直後だった。4番・中田に対し、内角要求のストレートが甘く入って先制2ランを被弾。さらに、2回先頭で迎えた石井にも、144キロが高めに入って右中間スタンドに運ばれた。

ただ、2被弾以降に許したのは1安打のみ。3回と5回はそれぞれ2三振を奪って3者凡退に仕留めた。現役時代にヤクルトや日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として21年間にわたって活躍し、ヤクルトではバッテリーコーチも務めた野球評論家の野口寿浩氏も「ホームランを打たれて以降は“らしさ”は見せてくれたのではないでしょうか」と大きくうなずく。

全ての球種が一級品「カウント3-2になっても、田中本人は困っていない」

その“らしさ”とは――。「やっぱり全ての球種が一級品。どれをカウント球、どれを勝負球と区切らなくても、勝負ができる。打者も悩んだと思う」と75球を振り返る。この日は、左打者への外角のスライダーを特に有効に使っていたといい「困ったらこれがいけるという選択肢を残したピッチングだった。カウント3-2になっても、田中本人は困ってませんよね」と語る。

8年ぶりに古巣に帰ってきても、マー君はやっぱり凄かった。キャンプからコンビを組んできた捕手・太田とのバッテリーも「コミュニケーションとれてるはずだし、サインが合わずにどうしようもないシーンはなかったと思います」と分析した。

現状では不安要素が見当たらないという田中将の姿。「敢えて粗探しをするなら……」と前置きした上で、野口氏は注文点を挙げる。ひとつは、スプリットの落差。「ちょっと物足りないという気がしました。そこが元に戻ってくれば、もっと良くなるのでは」という。そして、もう1点は投球間隔。「ほんのちょっとだけですが、間隔がつまってくるといいのかなと。1球につき1秒縮まれば、だいぶいいリズムになるとも思います」との見方を示す。

ただ、いずれにせよ“敢えての注文”。「登板翌日、翌々日に体に問題がなければ、次は100球前後を投げるでしょう。シーズン通して投げられれば、普通に2桁は勝つとは思います」。2722日ぶりの国内公式戦を白星で飾ることができなかっただけで、その実力は揺るぎなさそうだ。(Full-Count編集部)

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