鷹の打撃職人・中村晃が「柳田モデルバット」で起死回生の一撃

9回、起死回生の一撃を放った中村晃

執念でドローに持ち込み首位を守った。ソフトバンクが18日の西武戦(メットライフ)に4―4で引き分けた。追い詰められた9回に中村晃外野手(31)が1号同点2ラン。元気のなかった主砲・柳田悠岐外野手(32)も復活のノロシを上げ、初の〝天敵打ち〟を含む4安打の固め打ちだ。いずれも本調子ではなかった打線の要の状態が上がってくることで、一気にチームに勢いがつきそうだ。

9回、中村晃が起死回生の一撃を放った。ビハインドは2点。西武は難攻不落の守護神・増田が登場していた。先頭・デスパイネが四球を選ぶと、初球のスライダーを振り抜いた。打球は右翼スタンドへ。今季の1号が値千金の同点2ランとなった。

スランプとは縁がなさそうな打撃職人が、今季はここまで打率2割台前半に低迷。懸命に復調を模索している。〝商売道具〟も変えた。「今の自分にはそういうバットのほうがいいのかなと思った」と現在、使っているのは、自身のものより20グラムほど軽い、栗原が使用している柳田モデルのバット。まだ決して本調子ではないが、「(修正には)いろんなことをやりすぎていて、これというものはないです。でも、長いシーズンこういう時もある。諦めない気持ちだけは常に持ってやってます」と強い思いを口にした。

工藤監督もそんな中村晃に最敬礼だった。同点の7回に2イニング目のマウンドに立った2番手・津森がつかまった。ベンチとしては快投を続ける右腕のロング適正を試す思惑があったが、これが裏目となってしまった。そんな嫌な流れを一振りで払拭してくれた。「津森君もチームもあの一発で救ってくれた。勝ちに等しいかなと思います。よく打ちましたよ。さすがです」と絶賛した。

さらには頼もしい男が復活のノロシを上げた。主砲の柳田だ。今カードの初戦を終えた段階での成績は、打率2割1分6厘、3本塁打、5打点。まさかの不振となっていた。ただ、前日の試合で2安打をマークすると、この日は初回の先制、6回の同点に絡む4打数4安打の固め打ちで大暴れをしてみせた。

極めつきは3打数3安打で臨んだ4打席目だ。オフに「ボールも速いし、クイックでの投球も速い。今まで見たことのないタイプ」と一番の難敵に挙げていた平良から、通算8打席目にして初安打となる右越え二塁打を放ってみせた。

試合後は「ゲーム前に平石打撃コーチ、スコアラーの方それぞれにアドバイスをいただき、気付いたことがあり、いい結果につながった。打席の感覚が良く、いいスイングができました」と笑顔を浮かべた。

主砲が本調子となれば打線の迫力は一気に増す。この日の初回に今季の初盗塁を決めて先制点につながったように、得点能力も大幅に上がるのも間違いない。打線の要となる柳田、中村晃の復調にもつながる活躍で、工藤ホークスが首位を守った。

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