とにかく強い!矢野阪神 “鬼門”の敵地で佐藤輝「伝説の一本」に膨らむ期待

東京ドームに“初見参”する阪神・佐藤輝

阪神がとにかく強い。18日のヤクルト戦(甲子園)にも10―7で快勝し、5年ぶりの7連勝。いよいよ20日からは敵地・東京ドームに乗り込み、2位・巨人との首位攻防3連戦に臨む。そんな伝統の一戦で、今から注目されているのが、怪物ルーキー・佐藤輝明内野手(22)。目下、本塁打を放てば5連勝の「不敗神話」が継続中で、さらには東京ドームにそびえるあの“名物看板”への直撃弾の期待も高まっている。

ヤクルトの5人の投手を次々と攻略し、今季最多16安打10得点。中継ぎ陣は多少、もたついたものの先発・ガンケルは6回1失点と、点差以上にツバメ軍団を圧倒し、5カード連続の勝ち越しを決めた。矢野監督も「いい形でジャイアンツ戦に臨んでいけるような形をみんなで作れた。相手が巨人というのは、もちろんどこかで意識はしていますけど、僕たちの野球がやれればいい」と、20日からの宿敵との3連戦へ向け自信満々だ。

今季の巨人戦は6~8日の甲子園3連戦で2勝1敗と勝ち越しているが、油断はできない。昨年、敵地・東京ドームで3勝9敗と大きく負け越し、対戦成績8勝16敗と大差がついた原因になった。今年のチームの真価が問われる3連戦で、東京ドーム初見参の黄金ルーキー・佐藤輝にも大きな期待がかかる。5本塁打は堂々のリーグ3位、一発を放った試合5連勝中と佐藤輝の一発は今やチームの起爆剤でもあり、虎党ならば誰も期待するところで、逆に宿敵には昨年にはない脅威ともなる。

さらに東京ドームでは、並外れた飛距離を持つからこそ期待も膨らむ左の長距離砲としての“モチベーション”もある。東京ドームでの看板直撃弾がそれだ。外野席の上部にそびえる巨大看板直撃の本塁打を放てば賞品・賞金をゲットできる。たた、それだけでは選手がご褒美を得ただけの話だが、球界屈指の左のパワーヒッターだけが狙えるであろう“夢の一撃”も存在する。

ターゲットは、右翼席上部のミスターこと長嶋茂雄巨人終身名誉監督(85)がイメージキャラクターを務める「セコム、してますか?」のフレーズでおなじみの「セコム株式会社」の企業広告。これまでにのべ13人がブチ当て、その推定飛距離は137~150メートル。必要な条件を佐藤輝が他球場で、すでにクリアしているのも“期待”の根拠だ。

佐藤輝は9日のDeNA戦で、横浜スタジアムの右中間スタンド上部にある「鳩サブレー」の看板を上を通過する通称・サブレーショットなる場外弾をマーク。推定飛距離140メートルの特大弾を放ち、球界を「あっ!」と言わせた。矢野燿大監督が「夢のあるホームラン」と振り返った規格外の一撃が、仮に東京ドームで再現できれば、今度はその先には、球界の“太陽”でもあるレジェンドが待ち構えている。

長嶋氏は巨人の終身名誉監督ということもあり立場上、もろ手を挙げて劇弾を喜ぶわけにはいかないだろう。とはいえ、球界の大先輩としては久々に現れた“大物”の予感漂うイキのいい若武者の登場に密かに心弾ませる可能性すらある。仮にも今後、東京ドームでの「伝統の一戦」で佐藤輝がこの劇弾を実現すれば球史に残る「伝説の一本」として語り継がれる可能性さえありそうだ。

【これまでの“ミスター直撃”】

東京ドームでは開場3年目となる1990年からプロ野球公式戦全試合を対象に、スコアボード両サイドの看板直撃本塁打には「ビッグボード賞」、バックスクリーンの上部のオーロラビジョンに打球を当てた際には「オーロラビジョン賞」を特別スポンサー賞として制定している。看板弾を放てば、該当する各スポンサー会社から100万円相当の賞品・賞金が授与され、セコムはビッグボード賞、賞金100万円となっている。

これまでに「ミスター直撃」を達成した選手はのべ11人で、うち9人が左打者。右打者ではタイロン・ウッズ(中日)が2006年に、清原和博(巨人)が2001年に当て、通算では14度となっている。日本人選手では松井秀喜氏、高橋由伸氏など、この地を本拠地にしていた巨人の左の長距離打者のほか、阪神にゆかりのある打者では、昨季まで在籍した福留(現中日)が00年の中日在籍時に、前監督の金本知憲氏が96年の広島時代に達成している。

「セコム」も含めた東京ドームの看板直撃弾はこれまでに通算106本。最近では巨人・岡本が昨年7月30日に「東日本旅客鉄道」にブチ当てる推定145メートル弾で、同賞をゲットしている。

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