原巨人が〝動乱ウィーク〟に突入しそうだ。来日が遅れていた新助っ人のジャスティン・スモーク内野手(34)とエリック・テームズ外野手(34)の一軍初昇格が迫り、新型コロナウイルスの陽性判定を受けた丸ら4選手もすでに再始動している。万全の状態となれば、最大6選手の入れ替えが見込まれる一方で、原辰徳監督(62)が好調な選手をどう起用していくのかも注目されている。
勝ち越しだけは許さなかった。18日のDeNA戦(横浜)は8回に追いつかれたが、9回を〝新守護神〟となったビエイラが三者凡退で仕留め、2―2で引き分け。原監督は「価値ある引き分けだと思いますよ」とナインの踏ん張りを称えた。
6連勝をキープしたまま、20日から本拠地・東京ドームで首位を走る阪神、3位・広島との6連戦に臨む。ただ、現在の一軍メンバーの顔ぶれが一変する可能性もある。
まずは新外国人の2人だ。16日から二軍戦3試合に出場し、ともに本塁打ゼロながらスモークは打率5割7分1厘(7打数4安打)、4打点、テームズも同4割2分9厘(7打数3安打)、1打点を記録した。一軍昇格時期は首脳陣が慎重に見極めていくが、指揮官は13日時点で「現実問題、週明けの東京ドームくらいからじゃないでしょうか」と語っており、最速20日から合流する可能性も否定できない。新型コロナの陽性判定で離脱を余儀なくされた丸、中島、ウィーラー、若林の4選手も練習を再開しており、着々と復帰準備を進めている。
6人が戦列に加われば必然的に同じ数だけ一軍から脱落する。丸らに代わって緊急昇格した香月が「ガムシャラです」と語ったように、チーム内には危機感も充満しているが、昨季途中から台頭した生え抜きの松原聖弥外野手(26)の今後にも注目される。
開幕直後は不振だったが、ここへきて打棒が急上昇。この日まで5試合連続安打をマークし、15日は先頭打者アーチをかけ、16日は4安打の固め打ちで打率も3割4厘とした。しかし、右翼にはFA戦士の梶谷がおり、現在は不在の丸とテームズが加われば中堅と左翼も埋まる。外野全ポジションをこなす絶好調の松原でも一転してスタメン落ちの危機に直面しかねない。
その松原をファームで指導した阿部慎之助二軍監督(42)は以前にこう評していた。
「ひと言で言うと動物的なところがあった。二軍にいる時から振る力だったり、ストレートに対して一番強い打者だなと感じましたね。強いストレートを打ち返す中で変化球を拾えてヒットにできたり。打つ方の形をいじったこともない」。さらに「レベルは断然違うけど、かぶったのはウチで言えば清水隆行さん。打ち方とかではなく、そういう動物的な反応を持っている」と、2002年に最多安打のタイトルを獲得したOBの姿をダブらせた。普段の辛口ぶりを考えれば、ここまで言うのは飛びっきりの賛辞だろう。
松原は時に地面スレスレの投球を安打にするなど、天才的なバットコントロールをみせる。サバイバルがいっそう激化していく中で、百戦錬磨の指揮官はどんな手綱さばきを見せるのか――。