総務省接待問題の本質とは?元総務省官僚が解説

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月18日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」では、政策コンサルタントの室伏謙一さんが“総務省幹部の不祥事の本質”について述べました。

◆接待を繰り返し受けた、渦中の総務省とは?

総務省幹部が接待を繰り返し受けていた問題で、接待が行政に与えた影響を調べる委員会の初会合があり、武田良太総務大臣は「国民の疑念を招く事態になっている。正確に徹底的に検証を進めていただきたい」と述べました。

総務省出身の室伏さんは、まずその概要について解説。旧総務庁、郵政省、自治省、総理府の一部が統合されて総務省になり、「いろいろな機能を持ち、国の基本的な制度や地方に関する制度などを持っている」と言います。そして今回の件に関しては「旧郵政系幹部の不祥事」と指摘しつつ、「だからといって総務省全体が不祥事をしているわけではなく、お金が動く業界と関係があるところでこうした不祥事が起きてしまったということを、まず前提として押さえていただきたい」と前置きます。

今回は国家公務員の倫理が問われていますが、その大元となる「国家公務員倫理法」は2000年4月1日に施行。当初は非常に厳しく運用されていましたが、それから20年以上が経過し、緩んできたのかと言えば「僕はそうじゃないと考えている」と室伏さん。というのも、処分を受けた方々は当時から相当厳しく言われてきたであろうことから、「わからないはずがない」と室伏さん。ところが、届出を出さなかったのは「出さなくていいと考えて、出さなかった可能性もある」と恣意的な可能性を示唆します。

◆全ては忖度…霞が関が歪められている

現在、内閣官房には内閣人事局という部局があり、その所掌事務の1つは「幹部職員人事の一元的管理」で、「これは内閣総理大臣の権限だが根幹的部分は官房長官に委任とあり、ここがポイント」と室伏さん。そして、この内閣人事局誕生以来、長らく運用してきたのが、当時官房長官を務めていた菅首相であり、「本当に批判すべきはその運用のあり方ということを考えていただきたい」と訴えます。

また、総務省では幹部職(審議官・本省の部長以上)に就くためには適格性審査を受け、標準職務遂行能力の有無を判断され、そこで認められると幹部候補者名簿に記載されます。幹部候補者名簿は随時見直されますが、まずはそこに記載されないことには上にはいけないため、「結局、その権限を持っている人の顔色を伺うことになる」と室伏さん。しかも、菅首相は総務大臣時代に自分の政策に反対した人を堂々と更迭していただけに、なおさら上に忖度しないと出世できないという話になってしまうことも十分考えられると言います。

さらに今回の件では、東北新社には子息がいて、NTTは菅首相の目玉政策、携帯電話料金の値下げなども絡んでいるとあって「結果的に倫理もそうだが、政策自体も歪められてきてしまった」と危惧。

そして最後に、今国会の提出法案では不備が数多く見付かりましたが、「私が役人時代にはあり得ない話」と強調。しかも、それが国会に提出されてしまったということは、上が急がせた結果であり、「霞が関が歪められている、その1つの表れ」と指摘していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00(※番組終了)
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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