【ノア】“野獣”藤田がGHCナショナル王座V1戦へ気合 緊急入院乗り越えつかんだベルトを手放さない

藤田(右)は強烈な張り手を杉浦に見舞った

ノアのGHCナショナル王座を保持する“野獣”藤田和之(50)が、29日の名古屋国際会議場イベントホール大会で迎え撃つ杉浦貴(50)とのV1戦へ気合十分だ。緊急入院という大ピンチを乗り越えてつかんだベルトだけに、簡単には手放せないと力説。闘病中の師匠・アントニオ猪木氏(78)の姿からもパワーを受け、ますます勢いづいている。

その頑丈な体に異変が起きたのは2月初旬のことだった。藤田は「なんか背中が少し痛かったけど、気にせず昼寝したんですよ。それで起きたら尿が出ない。えっ?と思って、やっと出たと思ったら今度は血尿で。これはまずいと、すぐに病院へ行きました」と振り返る。

診察を受けた結果「膀胱に血の塊ができていて、それで尿が出なくなっていた」(藤田)ことが判明。出血性膀胱炎による膀胱タンポナーデという状態になっていたという。すぐに入院となったが、治療は想像を絶するものだった。

「麻酔を打たずに尿道に鉛筆くらいの太さの管を入れて、管の先から掃除機みたいな機械で吸って血の塊を取ったんですよ。膀胱がピタッとくっつく感覚がしました。もう、とにかく痛かった…」と顔をしかめた。

原因は不明で、常人の倍以上の回復力を持つ野獣でも、その後数日間の入院を要した。「医療がない時代なら死んでもおかしくない病気らしいです。ほんと、医療に感謝ですね。それにそういう経験をしたから、一試合一試合大事に戦わないといけないと思いました」

拳王(36)を破りナショナル王座を奪取したのが、その約1か月後のことだ。苦難を乗り越えてつかんだベルトだからこそ、一度も守らずに手放すことなどできない。

また師匠の猪木氏も闘病中で、リハビリの様子をユーチューブで公開している。藤田は「頑張ってほしいし、力をいただいていますよ。猪木さんが闘っているんだから、自分も戦い続けます」と表情を引き締めた。

杉浦との前哨戦(18日)には闘志むき出しで出陣。鬼の形相で殴り合うと、最後はラリアートからのサッカーボールキック3連発で頭部を打ち抜き直接勝利を収めた。「次、名古屋! それだけだ!」。野獣は全てを力に変え「50歳対決」に臨む。

© 株式会社東京スポーツ新聞社