保守地盤・県西でも野党共闘を 市民が勝手連、SNSで輪

 自民党1強に対抗するために加速する「野党共闘」を神奈川県西地域でも広げようと、市民有志らが勝手連「ツギセン@県西」を設立した。根強い反対論を押し切って特定秘密保護法や安全保障関連法を成立させ、次は憲法改正へと突き進む安倍政権の数に任せた手法に、疑問や怒りを覚えた市民らが自分たちの一票を託す“受け皿”を求め、伝統的な保守地盤で野党共闘を呼び掛ける。

 「健全な民主主義を成り立たせるため、市民が主体的に働き掛け、政治家の意識を変えたい」。共同代表を務める団体職員小山田大和さん(36)は設立の意図をそう説明する。

 「ツギセン」は次の選挙の略。7月に想定される参院選にしろ、ダブル選もささやかれる衆院選にしろ、県西地域から有権者が主体となる選挙スタイルを広げ、政権与党に数の論理で押し切られない、健全な政策論議ができる与野党の議席数均衡を、まずは主眼に置く。

 勝手連に参加するのは、おもに県西地域に住む30〜80代の約50人。肩書は主婦や開業医、農家、自営業、地方議員−と多種多様だ。支持政党のない市民が多いが、保守を自任する人もいる。

 安倍政権に疑問を持ったタイミングもまた、それぞれ異なる。いまだに続く東日本大震災の被害を忘れたかのようにかじを切った原発再稼働、国民の知る権利を損なうと危惧される特定秘密保護法の成立、反対の声を押し切って採決が強行された安保関連法…。

 立場も考えも違えど、心に渦巻いた感情は同じだった。「国民の声に耳を貸さず、自分たちに都合のよい政治を、数の論理で押し切る手法はどう考えてもおかしい」。一人一人のその思いは友人や知り合い、自らが所属するコミュニティー、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて共鳴し合い、輪が広がった。

 昨年8月には、有志らが安保関連法案に反対する集いを小田原駅前で開いた。だが結果は変わらなかった。ならば次は国会議員を決める選挙で行動するしかない。自分たちの思いを託す受け皿となり得る「野党共闘」を求め、今年2月に勝手連を結成した。

 現在のところは参院選に向け、4月に候補者を集めて公開討論会を開く予定だ。勝手連に関する問い合わせは、小山田さん電話090(7008)4455。

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