初代ヴェゼルはなぜバカ売れしたのか!? そのワケは使い勝手バツグンのシートアレンジと車内にあった

今世界的な人気を博しているSUVだが、じつはそのブームを確実なモノにしたのはホンダ 初代ヴェゼルだ。デビューした2013年当時はまだSUVよりもミニバンが全盛の時代であったのだが、コンパクトな見た目にもかかわらずそんじょそこらのミニバンよりも広い車内。そして何よりカッコいい見た目から瞬く間に人気モデルとなったのだが、今回は超偉大な初代ヴェゼルが人気を博したワケを考えてみたい。

ホンダ ヴェゼル

ヴェゼルの大ヒットが起爆剤に! 今のSUV人気を確実なモノに

2013年当時の売れ線はアルファードに代表されるミニバンであり、デザインよりも多人数乗車、あるいは車内の広さがモノをいう時代であった

ホンダ 初代ヴェゼルがデビューしたのは2013年のこと。当時ファミリーカーといえばミニバンであり、今のようなSUVブームが到来する遥か前。2010年に欧州市場に投入された日産 ジュークはあったものの、ライバルと呼べるモデルは数えるほどでまだまだメインはミニバンであったのだ。

デビュー6年目に首位奪還! 超異例の人気っぷり

そんな時代にデビューした初代ヴェゼルはコンパクトな見た目とは裏腹に広大な後席と多彩なシートアレンジを実現。そしてスタイリッシュな見た目から一躍スター街道を駆け上がっていったのだった。

2017年にデビューしたトヨタ C-HRはヴェゼルのガチライバルとしてデビュー。これまでのトヨタ車とは一線を画すデザインで、人気を獲得したモデルだ

事実ヴェゼルはデビュー翌年の2014〜3年連続でSUV新車販売1位に君臨。ここまでのヒットには、エクストレイルなどクラス上のモデル並みの広さなのに、ハイブリッドでも200万円台というコスパの良さもヴェゼルヒットを磐石なモノとしたのだった。

その後2017年に登場したトヨタ C-HRにその座を奪われるも、2019年の上半期には再び1位を奪還するほどの人気っぷりなのだ。デビューから6年目で1位に返り咲くことは稀で、名実ともにヴェゼルの功績を証明した結果であった。

エクストレイルなどクラス上のモデル並みの広さなのに、ハイブリッドでも200万円台というコスパの良さもヴェゼルヒットを磐石なモノとした要因であった。

ヴェゼル大ヒットの要因は2つ! 広い車内とハンパない質感にあった

とはいうものの、どんな理由でここまでのヒット作となったのだろうか!? 筆者は初代ヴェゼルの爆発的ヒットを獲得した要因は大きく2つあると考える。

ライバルはマネできず……ホンダ独自技術で実現した超広い車内

一つはホンダ独自のセンタータンクレイアウトで、この技術は2001年にデビューした初代フィットまで遡る。

ご覧の通り薄いガソリンタンクをフロントシート下に配置することで、後席スペースを確保している。そのため後席の足もとはフラットで凹凸がないのもメリットだ

簡単に言えば通常車体後方にレイアウトするガソリンタンクを薄く設計し、フロントシート下に配置。これにより広大なリアシートスペースとラゲッジルームを確保しているのだ。

ヴェゼルはもともとフィットと基本コンポーネンツを共有しているために、ヴェゼルにもこのセンタータンクレイアウトを採用。これにより、想像以上の広さを確保できたというワケ。

ラゲッジ側からワンタッチでシートアレンジが可能。6:4分割シートのため片側だけ倒して使用することもできる, 2列目の座面を持ち上げ、レバーでロックをすれば完了するチルトアップ機構。どちらも片手で操作可能で超簡単
ラゲッジ側からワンタッチでシートアレンジが可能。6:4分割シートのため片側だけ倒して使用することもできる, 2列目の座面を持ち上げ、レバーでロックをすれば完了するチルトアップ機構。どちらも片手で操作可能で超簡単

単に広いというだけでは他のモデルも同じであるが、最大の特徴は簡単なシートアレンジにある。例えばリアシートの座面を持ち上げ、ロックするだけで完了する。さらにはラゲッジ側からのも簡単で、事実女性でも片手で操作できるほど簡単なのだった。

質感が高級車並! 高級車特有のパーツ使用で高級感を

1000万超えの高級車は別として、200万円台のクルマは黒やベージュを使用するケースが多い。だが、ヴェゼルにはオレンジ基調のモデルを用意するなど常識に囚われない豊富なラインアップが魅力であった

そしてふたつめの理由は使いやすさとデザインを両立した運転席まわりにあると考える。というのもは運転席側にオフセットされており、どこかスポーツカーのようなデザインとしている。

特筆すべきは質感が他車を圧倒するほどのクオリティであった点。元々高級車に多く採用されていた

をインパネ全体に使用し、見た目だけでなく触り心地も好印象。そしてなにより高級感が半端なかったのだ。

今でこそ軽自動車にすら使われているソフトパッドだが、2013年当時は500万円以上のクルマがほとんどで、200万円台〜という現実的な価格帯のクルマに使われることは少なかったのだ。

カップホルダーの使い勝手は世界一だった

デザインと質感は高いが、使い勝手はイマイチというモデルも多いが、初代ヴェゼルは使い勝手も凄まじかった。筆者はこれまで何十回とヴェゼルをテストしてきたが、文句の付け所がないほどなのだ。

ワンタッチで高さを調整できるほか、中板を収納すれば小物入れとして使用できるなど単なるカップホルダーではなかったのだ。これだけでもヴェゼルを買う価値アリ! ってほどのデキ

特に気に入っていたのが、センターコンソール内の超万能なカップホルダーだ。高さを2段階で調節できるため、500mlのペットボトルを収納しても腕と干渉しない工夫がなされているなど、きめ細やかな心遣いがたまらなかったのだ。

見た目はイイが使い勝手はイマイチだったUSBポート

かなり奥に設置されているために、信号待ちでUSBを差し替えという使い方はしにくいというデメリットも

唯一、改善点をあげるならば、それはにある。ヴェゼルのセンターコンソールはフローティングデザイン(浮いているようなイメージ)を採用しており、その影にUSBポートを配置していた。

わずらわしい配線をスマートに見せるという、いかにも日本人らしい心遣いからこのデザインとなっているのだが、これが使いづらかった。まずUSBを接続する際に下をのぞく必要があり、正直使いやすいという代物ではなかったのだ。慣れてしまえば、問題はないのだが。

魅力を磐石なモノに! 新型ヴェゼルも大ヒット間違いなし

今回は初代ヴェゼルが爆発的ヒットを飛ばした理由を振り返ってみたが、まもなくデビューする新型ヴェゼルに期待するばかりである。

筆者はすでに新型ヴェゼルを取材済みなのだが、現行ヴェゼルの良さであるセンタータンクレイアウトによる広い車内はもちろん継承。そしてインパネの質感も相変わらずのハイクオリティであった。ただ、初代で感動した使いやすいカップホルダーが、されていた点は残念だった。

ともあれ、現行モデルの良さを継承し、さらなる進化を遂げた新型ヴェゼル。おそらく初代モデルと同様に爆発的ヒットを記録すること間違いなしだが、今は各社がこぞってSUVを投入する時代。それだけに、どんな戦いを繰り広げるのか今から楽しみだ!

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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