23年前の今日(4/20)が発売日:マッシヴ・アタック『Mezzanine』解説

1998年、英ブリストル出身のマッシヴ・アタックは、同世代の中で最高のアーティストの一つとして評価されていた。1991年のデビュー・アルバム『Blue Lines』と1994年のセカンド・アルバム『Protection』では、イギリスらしいポスト・レイヴの冒険を聴衆に見せながら、時に至福感を与え、時にダークな雰囲気を醸し出していた。

彼らのコラボレーターであるトリッキーの言葉を借りれば、1998年当時は“ミレニアム前の緊張感が漂っていた”。そんな中、グループは4年かけて自分たちの魂を込めたサード・アルバム『Mezzanine』を準備していたのだ。

『Mezzanine』がリリースされてから数年間、プロデューサーのニール・ダヴィッジはレコーディング・プロセスが雑だったと感じて不満を表明してきたが、このアルバムではトリップ・ホップとポスト・パンクのギターが特徴的にミックスされており、そのサウンドはビッグ・ビートのブロック・ロッキン・ビーツの名の下に、より不機嫌なものを作り出すために使用されていた。

 

ダークサイドから

アルバムのオープニング曲「Angel」はギターのフィードバックが何度も繰り返され、レゲエ界の伝説的存在でありレギュラー・コラボレーターでもあるホレス・アンディの不思議なほどフェミニンなヴォーカル、そしてダークサイドから来たというイメージがインクレディブル・ボンゴ・バンドの不規則なビートに乗っている。ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドのセパルトゥラがこの曲をカバーしたことは驚くに値しない。

5曲目の「Risingson」は、そのサウンドからエッジの効いたウォルター・スターン監督のミュージック・ビデオに至るまで「Angel」の流れを汲んでいる。しかし、怪しげなドラッグの表現にもかかわらず、トレモロとスクラッチに乗せられた3Dのボーカルは、驚くほどクリーンさが保たれている。

グループの代表曲「Teardrop」では、コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーがジェフ・バックリーにインスパイアされたボーカルを担当、チェンバロのサウンドや「火の上の涙/teardrop on the fire」や「黒い花/black flowers」といった歌詞のイメージが特徴的であり、発売以降も多くの人に愛され、カバーされ続けている。

死の間際の関係をテーマにした「Inertia Creeps」では、3Dは囁くようなリード・ラップに戻り、当時ウェスト・カントリーのグループが経験していた閉所恐怖症を物語るようなビデオを誇っている。

太いサンプリングビートであるブームバップに対するマッシヴ・アタックの疑問は、アイザック・ヘイズが歌う「Exchange」で解消され、この曲はアルバムの最後にホレス・アンディのボーカルで「(Exchange)」としてリメイクされた。

「Dissolved Girl」では、サラ・ジェイ・ホーリーが機能不全の人間関係の歌詞を歌っているが、これは同じく「Inertia Creeps」の女性版のようなもので、ホーリーのオープニング部分の後に、3Dの硬質で分裂的なギターがさらに鳴っている。

「Man Next Door」では、ホレス・アンディが勇気を持って自分の経験をすべて出し切り、グループをサウンドシステム時代のルーツに戻し、ジョン・ホルトの名曲に新たなアレンジを加えて成功させた。

ダディー・Gとマッシュルームによる謎めいた「Black Milk」では、リズ・フレイザーが暗い気持ちを晴らしてくれる。この曲は、おそらくグループの前作『Protection』や、地元ブリストルのライバルであるポーティスヘッドの作品の雰囲気に最も近いものだろう。また「Group Four」では、前面に出たギターのサウンドで覆われる前に、リズ・フレイザーがこの新鮮で簡単なジャズのような感覚をもたらしている。

 

発売後にグループが解散しそうに

UKのダブマイスターであるマッド・プロフェッサーは、『Protection』と同様に『Mezzanine』でも多くの曲を担当し、そのうちのいくつかはシングルに使用。マッド・プロフェッサーによる全8曲は、2019年にアルバムのデラックス・リイシューの一部としてもリリースされた。

ソウルフルな楽曲からの脱却は、メンバーのマッシュルームにとってはあまりにも過酷なものだったようで、1998年4月20日の『Mezzanine』発売直後に彼はグループを脱退、続く作品『100th Window』が2003年にリリースされる頃には、ダディー・Gも一時的に脱退した。

マッシヴ・アタックには、この他にも魅力的な作品がたくさんあるが、グループの存続が危ぶまれるほどのエモーショナルな作品は、二度と存在しなかった。

Written By Phil Smith

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