【高校発みやざきSDGs】ー12ー五ケ瀬中等教育(上) 感動と感性教育実践

地域の方々の指導の下、わらじ作りを行う五ケ瀬中等教育学校の生徒

 本校は、人口約3600人の中山間地域の五ケ瀬町にある全国初の公立中等教育学校である。開校当初から探究的な学びに取り組んでおり、現在は文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」の指定校として、野性味あふれる地球市民の育成を目指した教育活動を展開している。

 中でも、大切にしているのが「感動と感性の教育」である。6年をかけて、同町にある恵まれた自然や文化、人のつながりを五感を使ってリアルに感じ、この地域(ローカル)に根付いている持続可能な生活様式を学んでいる。例えば、4月下旬に行われる恒例行事「わらじ作り」では、単なる体験活動に終わることなく、総延長500キロメートルにも及ぶ山腹用水路の仕組み、稲作と畜産業・林業との関わり、文化を継承するために必要な地域コミュニティーの在り方など、地域(ローカル)を「循環型社会モデル」として学ぶ機会となっている。

 また、2015年12月には、同町を含む近隣5町村(高千穂郷・椎葉山地域)が国連食糧農業機関より「世界農業遺産(通称GIAHS)」として認定され、国際的(グローバル)な価値を持つことが実証された。これを受けて、近年は近隣中学校・高校との連携による「GIAHSシンポジウム」を開催し、ワークショップ「18番目の持続可能な開発目標を作ろう」などに取り組んでいる。

 (県教育政策課指導主事・上水陽一)

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