公道が戦いの舞台。WRCは世界最高峰のラリー選手権【モータースポーツ入門ナビ】

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 各地から届く桜や梅の開花の便りとともに、春が一歩一歩近づいてくることを実感するこの季節。モータースポーツの世界では通常、新しいシーズンの開幕が迫る時期を迎える。

 2021年もいまだ新型コロナウイルスの脅威が収まらぬなかではあるが、F1をはじめ、WECやインディカ―、国内のスーパーGT、スーパーフォーミュラといった各シリーズの開幕戦が3~4月にかけて順次開催されていく。

 ここでは、そんな各カテゴリーの楽しみ方や、観戦のヒントとなるポイントを初心者にも分かりやすく紹介していく。シリーズ第6回目となる今回紹介するのは、今年1月にすでに開幕戦を終え、今週末の4月23~25日に第3戦クロアチアが行われるWRC世界ラリー選手権だ。

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■ポイント

・1973年に創設されたラリー競技の世界選手権
・戦いの舞台は、主に閉鎖された公道
・走行路面がグラベル(未舗装路)、ターマック(舗装路)、スノー(圧雪路)とイベントごとに異なる
・1台ずつスタートするタイムアタック形式で争われる
・SS(スペシャルステージ=競技区間)の合計タイムがもっとも早い選手が優勝
・開催国数は年間12カ国前後。日本でも11月に愛知・岐阜で開催予定
・最高峰クラスでトヨタ、ヒュンダイ、Mスポーツ・フォードの3メーカーが覇を競う

2019年以来、2年ぶりの王座獲得を狙うオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC) 2021年WRC第1戦モンテカルロ

■WRCの紹介

 WRCはサーキットで行われるレースとは異なり、山林や荒野、農耕地に市街地など普段は一般車両が通行する公道を閉鎖して行われる競技だ。それゆえ、マシンが走行する路面はグラベル(未舗装路)、ターマック(舗装路)、スノー(圧雪路)、アイス(凍結路)とイベントの開催時期や開催地によって異なり、SSと呼ばれる競技ステージの長さも全長1km弱のショートトラックから40kmを超えるロングステージまでバリエーションに富む。

 1台のマシンにふたりの選手が乗り込むのもラリー競技の特徴のひとつ。WRCもその例外ではなくドライバーと、“ペースノート”と呼ばれる事前に道順を記したシートを読み上げるコドライバーの二人一組で戦っていく。ラリーの勝敗はコースを1台ずつ走行した際のタイムで決定し、1大会につき14~20本ほど設定されるSSの合計タイムがもっとも早いクルーのマシンが優勝車となる。

 国内ではトヨタ、ミツビシ、スバルなどの日本車メーカーが活躍した1990年代に人気を博したWRCだが、現在最高峰クラスに参戦しているのはトヨタ、ヒュンダイ、Mスポーツ・フォードの3社だ。

フォードの支援を受けてワークス2社に対抗するMスポーツのフォード・フィエスタWRC 2021年WRC第2戦アークティック・ラリー・フィンランド

 マシンは育成、ならびにプライベーター向けカテゴリーのWRC2とWRC3、若手育成クラスのジュニアWRC(JWRC)を含む全クラスで、市販車をベースに開発された車両が用いられる。その最高峰に位置する“WRカー”は1.6リットル直噴ターボエンジンを搭載した4WD車で、大型スポイラーやカナードなどのエアロパーツを装着することで空力性能が格段に引き上げられている。

 2021年も例年どおり1月下旬にモンテカルロで開幕したWRC。その見どころはやはり、ドライバー選手権2連覇中のトヨタと、マニュファクチャラー(メーカー)選手権3連覇を狙うヒュンダイによるチャンピオンシップ争いが中心となるが、今季はトヨタ育成ドライバーの勝田貴元が、ラリージャパンを含む最高峰クラス全戦に『トヨタ・ヤリスWRC』で参戦することが発表されており、日本人ドライバーによる活躍にも期待が集まる。

 そんなWRC日本ラウンドは、2021年シーズン最終戦として11月11~14日に愛知・岐阜で開催される予定だ。

日本人ドライバーとして唯一、WRC最高峰クラスにフル参戦している勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第1戦モンテカルロ