【薬剤師によるコロナワクチン接種を】知事参画の関西広域連合が特例で要望

【2021.04.22配信】関西エリアの府県知事などが参画する関西広域連合(広域連合長・仁坂吉伸氏=和歌山県知事)は「新型コロナウイルスの感染急拡大を受けた緊急提言」をまとめ、西村康稔経済再生担当大臣に提出した。その中で、ワクチン接種の一層の推進のために薬剤師や医学部・看護学部の学生など対応ができる人の範囲を拡大する特例も求めた。

関西広域連合には、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市などが参画している。連携団体として、福井県、三重県がある。

関西広域連合は4月20日に「新型コロナウイルスの感染急拡大を受けた緊急提言」を西村康稔経済再生担当大臣に提出。関西圏ではとりわけ変異株による感染も多数確認されている中、感染拡大を防ぐための要望を行った。

まず、緊急事態措置、まん延防止措置の適用を要望している。関西の府県がこれらを要請した場合に迅速な対応を求めるほか、緊急事態措置においては休業要請に関する持続化給付金や補助金、協力金などに適切に対応することを求めた。

そして、基本的対処方針に関しては、都道府県知事が地域の実情に応じた対応をよりきめ細かく大胆に講じられるように変更することを求める。

より実効ある感染防止対策の実施も求める。特に無症状の感染者による感染拡大を防ぐためにもその兆候や特徴等を示すことを求める。

変異株対応については、関西圏で感染が拡大している英国型の変異株は、感染力が強い、重症化しやすい、重症化の速度が早いなどの特徴があることから、適切な変異株対策を早期に示し、措置を強化すべきとする。

ワクチン接種の一層の推進については、以下の4つを要望した。

(1)ファイザー社のワクチンの輸入枠確保に加え、既に承認申請がなされ審査中のアストラゼネカ社・モデルナ社のワクチンについても、安全性の検証を十分に踏まえた上で早急な承認手続を行い、更に強力に、全体的なワクチンの必要量を早期に確保すること。特に、アストラゼネカ社のワクチンは、関西圏でも製造されることから早急な活用を図ること。

(2)ワクチン接種を行える者をより多く確保するため、薬剤師や医学部・看護学部の学生など対応ができる者の範囲を拡大する特例を認めること。

(3)コロナ対策の目処を示すことで安心感が醸成されることから、医療従事者、高齢者、高齢者施設等の従事者、基礎疾患を有する者、それ以外の者へのワクチン供給と接種スケジュールを明確に示すこと。

(4)感染力や重症化のリスクが従来とは異なる変異株の急速な拡大を抑え込むため、ワクチンについては、感染拡大地域に重点的に配分すること。

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、まん延防止等重点措置を実施する地域では、①営業時間短縮要請の協力金支給や飲食店等への感染防止対策の徹底、②新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の対象外とされている回復患者を受け入れる医療機関等への支援や高齢者施設等の従業者への集中的検査等について、今後も多額の財政負担が見込まれるとして、増額を求める。

最後に人権を守る対策の徹底を求め、感染者及び最前線で治療に当たる医療従事者、更には他の都道府県からの来訪者や外国人等に対するデマの拡散、偏見や差別、心ない誹謗中傷、人物の特定などの人権が脅かされることのないよう、国においても人権を守る対策を強力に講じることを求めた。

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これまで、国は薬剤師によるワクチン接種の特例には否定的な見解を示してきたが、今回、関西広域連合では、薬剤師等も対象に含めることで、ワクチンの迅速な接種拡大につながるとの考えを示した格好だ。

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