大阪や東京で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。長崎県内でも21日まで7日連続で感染者数が2桁になった。人の移動が増えかねない大型連休を目前に控え、長崎大熱帯医学研究所(長崎市)の森田公一所長は「対策を取らなければ第3波を超えるというシミュレーションもある」と警鐘を鳴らす。
-県は20日、感染の広がりを5段階で示す独自のステージを「2」(感染者の漸増)から「3」(増加・拡大)に引き上げ、県内全域に警戒警報を発令した。
東京、大阪で感染者が激増している。県内の感染事例は県外由来が約8割、残り約2割は感染源が分からない。十分な警戒が必要だ。対策を取らなければ第3波を超えるというシミュレーションもある。県の(引き上げ)判断は妥当だ。
-大型連休が間近に迫っている。県はイベント開催に慎重な判断を求めている。
県がお願いしているように県外との不要不急の往来を控えてもらうべきだ。成人式や大型のイベントは県外からの帰省客や観光客が多い。残念だが、今は延期してもらうべき時期だと思う。今、対策を取らないと連休の頃には感染者がさらに増えてしまう恐れがある。いろんな我慢を強いられる市民は大変だと思うが、感染拡大防止のために行動を起こしてほしい。
-変異株の影響があるのか。
東京、大阪は従来株から置き換わってきている。こうした地域と長崎もつながっている。英国型の変異株は感染力が従来株より1.7倍強いとされる。(1人が平均何人に感染させるかを示す)実効再生産数が「1」を切ると感染が減り、逆にこれを超えると感染が拡大していく。単純な計算になるが、例えば、少しずつ感染が減っていた今までを「0.8」だったとする。だが、これに「1.7」を掛けたら「1」を超えてしまう。変異株が県内にも入ってきているわけだから、封じ込めるにはこれまで以上の対策が必要。第3波の際、長崎はうまく対策をやっていたが、今はさらに警戒度を上げるべきだ。