【ノア】GHCヘビー級王者・武藤がV2戦で北宮を査定 「マサ」を剥奪か?

武藤(左)にとってマサさんは特別な存在だった。中央はアントニオ猪木(87年7月)

ダメなら「マサ」剥奪。ノアのGHCヘビー級王者・武藤敬司(58)が、29日の名古屋国際会議場イベントホール大会で迎え撃つマサ北宮(32)に非情通告だ。“獄門鬼”マサ斎藤さん(享年75)と親交の深かった武藤はV2戦で、挑戦者がその名を冠するにふさわしいか“査定”すると宣言。場合によっては完膚なきまでに叩きのめした上で改名を迫る。

武藤の心は折れていなかった。北宮との前哨戦(18日)は得意の脚攻めで追い込んだが、最後は監獄固めに捕らえられたまま頭突きを食らい額から流血。屈辱のギブアップ負けを喫した。

ところが「レフェリーが早く止めやがった。血が出たからって焦りやがってさあ。ギブアップ? してねえよ! 俺は『ギ…』までしか言ってねえ」と主張。その上で「監獄固めで負けたのは多分初めてなんだよ。(技を開発した)マサ(斎藤)さんにもやられたことはないと思うから。そういや、北宮ってマサさんから名前を譲り受けたんだろ?」と続けた。

北宮は2011年の健介オフィス入門時、同団体のアドバイザーを務めるマサさんからプロレスの「いろは」を叩き込まれた。16年4月には尊敬の思いを込め、本名の北宮光洋から改名。そこで武藤は「今のあいつがその名を受け継ぐに値しているかどうか、俺がマサさんに代わって査定してやる。ダメだったら叩きのめして(本名の「みつひろ」にちなみ)ミツ北宮にさせるよ」と豪語する。

武藤もマサさんの影響を受けた一人だ。時代は違えど、ともに米国マットでも成功を収めた共通項もあって「俺にとってマサさんは良き先輩であり親しい友人なんだよ」と振り返る。新日本プロレス所属の90年代には巡業中の昼食を常に共にし、高度なヒザの治療ができる米国の病院を紹介されたこともあった。

「飯の支払いはじゃんけんで決めるんだけど、大体俺が勝ってマサさんに払ってもらってたなあ…。年上だけど先輩後輩を気にしなくて、そういうところがすごく合ったんだよ」

それほど尊敬する先輩であり恩人であり、親友だっただけに、タイトルをかけた大一番で見極めようというわけだ。「見たいのはイズム。メンタルだよな。マサさんの『Go for broke』(当たって砕けろ)を受け継いでいるかどうか。そういやあマサさん、よく奥さんにGo for brokeして砕け散ってたなあ…。レディーファーストな人だったから」。天国のマサさんが見守る一戦で、王者はどう決断を下すのか。

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