湯河原女性殺人・放火事件6年 「無念晴らす」神奈川県警の捜査続く

女性の冥福を祈る福祉作業所の職員や利用者=21日午前、静岡県熱海市

 神奈川県湯河原町宮下で2015年、住宅の焼け跡から住人の女性=当時(66)=が遺体で見つかった殺人、放火事件は未解決のまま21日で発生から6年となった。神奈川県警は同日、JR湯河原駅前で駅利用者らにチラシ千枚を配り、情報提供を呼び掛けた。女性の墓がある静岡県熱海市の寺では、女性が生前通った福祉作業所の職員や利用者が墓前に花を手向けて早期解決を願った。

 小田原署捜査本部はこれまでに捜査員延べ約2万7200人を投入。延べ約1万2800人から話を聞くなどしたが、容疑者につながる有力な情報は得られていない。チラシを配った野﨑剛志署長は「被害者や遺族の無念を晴らすため地道な捜査を続けている。ささいなことでも構わないので、情報を寄せてほしい」と話した。

 墓前に手を合わせた福祉作業所の鈴木雅之所長(61)は「明るく、優しい人柄で友達が多かった。職員が遅くまで残っていた時には『早く帰った方がいいよ』と気遣ってくれた」と振り返り、「いまだに事件に巻き込まれた理由が思い当たらない。一日も早い解決を願っている」と唇をかんだ。

 事件は15年4月21日午前6時ごろ、女性宅から出火し発覚した。女性の遺体は額に包丁が刺さった状態で焼け跡の寝室で見つかった。複数の切り傷や刺し傷のほか、鈍器で殴られたような痕があり、殺害後に放火されたとみられている。

 捜査本部は、事件のあった日の早朝に湯河原駅の防犯カメラに写った不審な人物の画像を県警のホームページで公開しており、情報を求めている。身長約170センチで、黒のリュックサック、青のチェック柄の手提げ紙袋を所持していた。

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