人生をそばにかけた男の終着地

土曜旅館 北海道そば巡り合い旅①

©テレビ北海道

士別市多寄町には、そば屋らしからぬ外観のそば屋があります。実はこのお店、閉鎖した信用金庫の支店を再利用しています。

一見、そば屋とは思えない外観

千葉から移住してきた店主の山崎淳司さんは、サラリーマン時代、出張で全国のそば店を食べ歩いていました。その後、自らもそば打ちにはまり、全国の産地からそば粉を取り寄せては、その違いを楽しんでいました。そんなある日、衝撃の出会いが…。

サラリーマン時代の山崎さん

そば粉に水を合わせる「水まわし」という作業をしていた時に、他のそば粉とは全く違う香りが広がったのです。そのそば粉は、北海道士別市多寄町の農家、笠羽正一さんが作ったそば粉だったのです。
そこからが人生をそばにかけた男らしい行動力。いてもたってもいられず、2007年に士別に移住。教えを請おうと笠羽農園の門を叩きます。「すぐに教えてもらえると思った」という考えでした。
しかし、実際には門前払い同様の扱い。それでも何度も足を運ぶうちにカボチャの収穫を手伝わせてもらえるように。まさに「小僧業」を積み重ねては、合間にそばの話をしてもらえるようになりました。

1年後にはようやく認めてもらえ、その後、師匠・笠羽さん下でそば栽培を学ぶことに。そこから話はとんとん拍子に進み、元信金支店の活用のため、そば店「淳真」を開店しました。2009年のことです。

それでも国道沿いとはいえ、人の多くない集落にあるそば店。お客さんが1人も来ない日が続いたそうです。それでも確かなそば粉を使い、日本中のそばを4年近くかけて食べ歩いた山崎さんが作るそばは評判を呼び、毎日完売するように。

ピリ辛そば

しかしストーリーはそこで終わりません。2013年には師匠の製粉所を受け継ぎ、さらに2015年、山崎さんは自らそばを生産するため就農したのです。もちろん栽培を教えるのは、師匠の笠羽さん。6ヘクタールの畑は交互に3ヘクタールずつ使い、店で出す量を賄っています。

そば畑で師匠の笠羽さん(右)と

そばが好きで、そばにはまり、移住し、店を開き、そば農家に。そばの持つ力を感じるエピソードです。その後、地区にあった飲食店が閉店し、地元の人の憩いの場がなくなったことを知り、店を譲り受け、居酒屋も開いた山崎さん。そばには人を呼び寄せ、人をつなぐ力もあるようです。

山崎さんの打つそばは、人を呼び寄せ人をつないでいる。

■淳真
北海道士別市多寄町 36線東3
電話: 0165-26-2302
営業時間:11:30~14:00(そばがなくなり次第閉店)
定休日:月曜日
(2021年4月24日放送 テレビ北海道「土曜旅館 北海道そば巡り合い旅」でご紹介させていただきました)