チーム打率も防御率もリーグ5位 故障禍&打てなくても西武が低迷しない理由とは

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ロッテ・オリックスで監督を務めた西村徳文氏【写真:荒川祐史】

西武は21試合を終えてリーグ断トツの24盗塁をマーク

上位4チームが貯金を作っているパ・リーグ。圧倒的な選手層を誇るソフトバンク、リーグトップの得点力を誇るロッテ、強力先発陣を備える楽天と得失点差がプラスのチームが上位を占める中、2018、19年のリーグ王者・西武が主力選手の相次ぐ故障離脱にもかかわらず食らいついている。21日時点で得失点差はマイナス13。チーム打率.227、防御率4.06はいずれもリーグ5位だが、10勝9敗2分けで貯金を1つ作っている。

3月26日のオリックスとの開幕戦で2安打を放った栗山巧外野手が下肢の張りで3月31日に出場選手登録を抹消され、今月20日に復帰したばかり。山川穂高内野手は左太腿裏の肉離れでやはり3月31日に離脱。その後も、死球を受けた外崎修汰内野手が左腓骨骨折、木村文紀外野手が腰痛、さらに3年目の山野辺翔内野手が左母指の靭帯手術と、レギュラークラスの野手が次々に戦線離脱する事態となっている。

それでも上位争いに加わっている要因は何か。現役時代はロッテで首位打者1度、盗塁王4度の実績を誇り、2010年はロッテ監督としてリーグ3位から日本一という“下克上”を成し遂げた西村徳文氏は「西武が今の位置にいられるのは、走塁面の部分が大きい」と指摘する。

西武の盗塁数はリーグ断トツの24を数える。駒大からドラフト4位で入団した若林楽人外野手がリーグトップの9盗塁。さらに源田壮亮内野手が6個、2度の盗塁王を誇る金子侑司外野手や山野辺が3個と機動力を発揮している。

三塁盗塁の“効用”を強調「相手のプレッシャーが高まる」

「現在のスタメンで、出塁してノーマークでいい選手は森友哉と中村剛也くらいでしょう。あとは走れる選手ばかり」と西村氏。「足の速い選手は相手にとって嫌なものです。四球を出して盗塁されれば二塁打と同じ。走者を警戒することで投手が自分のリズムで投げられなくなったり、配球も変わったりする。相手野手のポジショニングも変わってくるので、攻撃側に有利になることが多い」と語る。

バックアップに俊足の選手がいるかどうかで戦術的にも大きく変わってくるという。今季は9回打ち切り。「接戦の場合、終盤での代走は重要です。今年は延長がないので積極的に起用できる。延長があると、終盤の大事な場面でも選手交代を躊躇してしまうことがあります。足が遅くても打力のある選手にもう1打席回るかもしれないと考えると、代えにくくなるものです」。

盗塁については「近年は減っているような気がする」という三盗の重要性も強調する。キャリアハイの55盗塁をマークした1988年には「13か14くらいはあった」といい、チャンスがあればトライする価値は大きいと強調する。「三塁に走者がいれば、バッテリーは暴投を警戒して低目の変化球が投げにくくなります。内野手は絶対にミスできない状況になり、打者の足が速い場合はプレッシャーはさらに高まります」。

リーグVを飾った2018、19年は“山賊打線”と称される強打がクローズアップされる一方で、盗塁数もリーグトップ(2018年=132個、2019年=134個)だった。「離脱している主力がいつ戻ってくるか。そこがカギになるはず」と西村氏。機動力を備えたチームに太い幹が戻ってくれば、2年ぶりリーグ優勝が現実味を帯びてくる。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)