新エアロ投入のトヨタ勢がトップ6に4台。初開催WRCクロアチア、走り出しはエバンス最速

 4月22日、WRC世界ラリー選手権第3戦が東欧クロアチアで開幕し、翌日から始まる競技を前にシェイクダウンが行われた。今季初のフルターマック(舗装路)ラリーとなる今イベント最初のセッションでトップタイムをマークしたのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)だった。

 精力的な誘致活動の末に34番目のWRC開催国となり、初めて最高峰ラリーシリーズの1ラウンドとして開催されることになったクロアチア・ラリー。1974年に初開催されたこのイベントは、首都ザグレブを中心に展開される歴史あるアスファルトラリーだが、トップクラスに参戦する現役ドライバーにその経験者はおらず、誰にとっても初めてのラリーとなっている。

 そんなクロアチア・ラリーのシェイクダウンが22日、ザグレブ北部に設定された全長4.60kmのステージで行われた。このテストの最初ランで一番時計を記録したのは現在、史上最年少でポイントランキング首位に立っているカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)だったが、チームメイトであるエバンスが2度目の走行でこれを上回ってトップに。彼は3走目でさらにタイムを縮め、最終的に2分45秒1というタイムを残した。

カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)

 2番手はティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)で、エバンスとのギャップは0.7秒。3番手のロバンペラと4番手となったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が2分46秒台のタイムをマークした。その後ろにはセバスチャン・オジエと勝田貴元(ともにトヨタ・ヤリスWRC)が続き、上位6台中4台をトヨタ勢が占めるかたちとなっている。
 
 なお、トヨタはこのクロアチアで、ヤリスWRCに新しい空力パーツを装着してきた。ニューパーツはフロントフェンダーのタイヤハウス上部からAピラーの付け根にかけて取り付けられた衝立状のもので、シャークティースのような切り欠きがあるのが特徴だ。

 また、フェンダー後方は下部がネット仕上げとなっている他、リヤ方向に行くにつれて内側へ絞り込まれ、その部分に3枚のカナードが配置されている。

 Mスポーツ・フォード勢は今イベントがWRカーデビュー戦となるエイドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)が2分49秒2をマークし、僚友ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)を上回る7番手という好スタートを切った。ガス・グリーンスミスは8番手で、9番手と10番手にはヒュンダイのピエール・ルイ・ルーベとクレイグ・ブリーンが入っている。

 クロアチアでWRC復帰を果たし、その後も複数のWRCイベントに挑むことが明らかにされているJRC全日本ラリー王者の新井大輝(フォード・フィエスタ・ラリー2)は、1走目で痛恨のコースオフを喫してしまう。しかし、再走行が叶い2本目で3分09秒、3度目のランで3分03秒2を記録しWRC3クラス5番手/総合25番手でシェイクダウンを終えた。

 明日から競技がスタートするクロアチア・ラリー、初日の23日(金)は、ザグレブの南西エリアで4本のSSを日中のサービスを挟んで各2回走行する予定だ。

トヨタ・ヤリスWRCの新しい空力パーツ(後方から)
トヨタ・ヤリスWRCの新しい空力パーツ
トヨタ・ヤリスWRCフロントフェンダー部に装着された新しい空力パーツ
WRカーデビュー戦を迎えているエイドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)
ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)

■2021年WRC第3戦クロアチア シェイクダウン結果

Pos. No. Driver Machine Time

1 33 E.エバンス トヨタ・ヤリスWRC 2’45.1

2 11 T.ヌービル ヒュンダイi20クーペWRC 2’45.8

3 69 K.ロバンペラ トヨタ・ヤリスWRC 2’46.4

4 8 O.タナク ヒュンダイi20クーペWRC 2’46.6

5 1 S.オジエ トヨタ・ヤリスWRC 2’47.6

6 18 勝田貴元 トヨタ・ヤリスWRC 2’48.9

7 16 A.フルモー フォード・フィエスタWRC 2’49.2

8 44 G.グリーンスミス フォード・フィエスタWRC 2’49.7

9 7 P-L.ルーベ ヒュンダイi20クーペWRC 2’49.8

10 42 C.ブリーン ヒュンダイi20クーペWRC 2’51.6

25 36 新井大輝(WRC3) フォード・フィエスタ・ラリー2 3’03.2

※リザルトは編集部集計

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