もっと長く働ける職場づくりに「70歳雇用推進マニュアル」を活用しよう!

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、改正高年齢者雇用安定法を踏まえたマニュアル「70歳雇用推進マニュアル」を作成・公表しました。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「70歳雇用推進マニュアル」

すでに体制が整っていたり、準備を進めていたり、と企業によってさまざまな状況だと思いますが、2021年4月1日から「改正高年齢者雇用安定法(通称:70歳定年法)」が施行され、70歳までの就業機会を確保する措置を講じることが各企業の努力義務となりました。
現時点では努力義務ですが、いずれは実施を義務化することも検討されています。
※制度の詳細や、実際に取り組みされている企業の事例については、過去記事もご参照ください。

2020.11.3070歳までの就業確保措置が努力義務になる前に!令和2年度「高年齢者雇用開発コンテスト」の入賞例を読んでみよう 高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)の改正により、2021年4月より70歳までの就業確保措置が努力義務として課されることとなりました。 今回は、高年齢者雇用安定法と「高年齢者雇用開発コンテスト」の...

今回は、このマニュアルや制度のポイントについて簡単にご説明いたします。

将来的な労働力不足に備える

マニュアルの序盤には、よくある疑問とそれに対応するページが「検索ガイド」としてわかりやすく掲載されています。
一例を見てみましょう。

A.将来の労働力不足を見据え、少しずつであっても進めていきましょう。
→「第3章 70歳までの雇用推進に向けて必要な施策(P.12)」
P.12には体制を整えるための必要な施策についてまとめられています。

また、回答の「将来の労働力不足」について補足すると、将来的に少子高齢化によって若年層の働き手が減少していくことを指しているのはもちろんですが、新卒採用を減らす企業が年々増加している傾向にあることも含められるでしょう。

読売新聞社と日本テレビ放送網が実施したアンケートによると、2021年春入社の新卒採用を例年より「増やす」とした企業は9社のみにとどまり、前年の23社から大幅に減少しました。
反対に、新卒採用を「減らす」とした企業は29社あり、前年の15社から増加しています。

これには経済状況の悪化などにより、採用コストや人件費を削減したり、即戦力を求めて中途採用に力を入れる動きが加速している、などが背景にあるといえます。

出典:読売新聞「新卒採用『減らす』倍増、『増やす』大幅減…主要100社アンケート」

こういった動きを考えても、経験豊富な従業員の定年を延ばし、より長く働ける体制を整えることは企業にとって建設的であると考えられます。

タイプ別で考える高年齢社員の働き方

また、マニュアル内では、必要な施策として高年齢社員の活用方針について触れています。

「業務の内容・責任の程度」と「働き方」の2つの視点で考えて、高齢期に「業務の内容や責任の程度」が変わるのか変わらないのかによって「バリバリ活躍型」「ムリなく活躍型」のようにタイプ分けをする、といった方法です。
さらに働き方もフルタイム勤務なのか、短時間なのかも踏まえて3つのタイプを紹介しています。

出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「70歳雇用推進マニュアル」

高年齢の従業員と一括りに言っても、業務による心身への負担や、もともとの健康状態など、ひとりひとり状況が異なります。
それらを考慮しつつ、企業の事情に合った制度を検討することが望ましいでしょう。
マニュアルには、実際の企業の導入事例もとてもわかりやすく、多く記載されていますので参考になりそうです。

従業員が長く働ける職場づくり

年齢を重ねると、若手社員に比べて健康上の問題が生じやすくなることは誰しも避けられません。
60歳以降も企業で戦力になってもらうためには、なにより社員全体の健康管理が重要と言えるでしょう。
高年齢社員が安全に働ける職場の環境を整えたり、社員同士が自主的に助け合う協力的な風土づくりも大切ですが、高年齢社員だけではなく、若年時からの健康維持やそのための取り組みが必要不可欠です。

また、テレワークの導入など働き方が多様化してきている今、従業員にとっても「〇歳まで働く」「〇歳からは時短で働く」など、働き方の選択肢が多くあればあるほど働きやすい職場環境となると思います。

<参考>
高齢・障害・求職者雇用支援機構「70歳雇用推進マニュアル・65歳超雇用推進事例集」

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