英語で突き抜けるのは簡単!

2020年から小学5・6年生で英語が正規教科化。また英語に親しむ「外国語活動」が小学3年生から導入されました。この改革は、日本の英語教育レベル全体を底上げすることが目的です。

英語で得する時代

大学入学共通テストでは、今までの「聞く」「読む」に「書く」「話す」を加えた4技能が評価され、「英語外部検定利用入試」と呼ばれる、GTEC CBTや英検などのスコアを代替したり、外部試験のスコアに応じ、みなし得点化できる制度を導入。英語学習のレベルが上がり、4技能が重視されようになるこの改革は、多くの子供にとって「負担が増える」ことを意味します。国語、算数、理科、社会に加えて「英語」にも本腰を入れなければ、難易度が高まる授業内容や大学入試に対応できなくなる可能性が出てきます。

その一方で、一部の英語が得意な人たち(帰国子女や留学経験者)は大きなアドバンテージを得ることができます。英語外部検定でハイスコアを取れば、一発勝負の入試に保険を掛けることができます。また、英語の受験対策が必要ないため、他の教科に集中することができます。

どの程度の英語力が必要なのか?

今回の改革によって、目指す英語力が明確になりました。大学の英語テストでみなし満点扱いとなる「CEFR B2レベル以上」を高校時代に取得することです。導入している大学では、「B2レベル」を達成(大学により異なる)すれば英語試験は免除、加点、もしくは満点扱いとなります。

日本の大学入試でアドバンテージを得ることはもちろん、英語を武器に自分のキャリア形成に生かしたり、奨学金を得て英語圏の大学へ留学してさらに英語力に磨きをかけることも視野に入ってきます。

では、「CEFR B2レベル」の難易度はどの程度なのでしょうか? 文部科学省が全国の高校3生約7万人を対象に14年に実施した英語力調査を見ると、同レベル達成者の割合は「読むこと」0・2%、「聞くこと」0・3%、「書くこと」0%(話すことはデータなし)という、かなり過酷な結果となっています。

このデータを見る限り同レベルを達成するには、日本で英語力トップ1%以上の実力が必要であり、かなりハードルが高そうです。しかし実際には、小学生でも達成できるほど「簡単」なのです!

CEFR B2レベルは難しくない

父親の海外赴任で海外の学校に数年間通った子供、日本で真面目に英語を勉強した上で1年以上の留学を経験した子供、あるいは日本国内で英語のリーディング力を身に付けた子供であれば「CEFR B2レベル」達成は決して難しくありません。

さらに言えば、同レベルは小学生でも達成可能なのです。このコラムで紹介している通り、小学生で英検準1級に合格したケースは数多くあります。帰国子女はもちろんですが、海外経験が全くない子供でも、やり方次第で英検準1級に合格することは可能なのです。

つまり、英語は他教科と違ってトップを狙いやすい「すき間教科」なのです。小学生が数学や科学で国内トップ1%となることは難しいですが、英語は小学生時代に国内トップレベルの実力を達成することが可能なのです。

ポイントはリーディング

21年からスタートする大学入学共通テスト(旧センター試験)では、英語の配点はリーディングとリスニング各100点の計200点となります。これからは日本の大学入試も世界標準に合わせて、「読む力=リーディング力」重視となります。

「CEFR B2レベル」達成の鍵もリーディング力です。リーディング力は4技能全てを向上させてくれる万能スキルです。子供が年齢相当の英語の本をストレスなく読み解けるようになれば、日本では英語力トップ1%です!

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。 しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。 2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。 アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。 イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。 著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

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