東北大が解明。歯の喪失がうつ病につながる。19本以下の者の発症リスクは3割増

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 高齢になると抑うつ状態になりやすくなる。抑うつ状態は認知症との区別がつきにくいだけでなく、抑うつ状態から認知症へ発展するケースも少なくないようだ。抑うつ状態になる要因としては様々な要因が挙げられているが、歯の喪失が抑うつ状態に強く関係しているということは以前から報告されていた。

 4月16日、東北大学のグループが「歯の喪失と抑うつとの関連メカニズム」を解明した論文(Journal of Affective Disorders: Vol286,1 May 2021)を公表したと発表、その要旨を日本語レポートで公表している。これによれば、歯が20本以上の人に比べて、19本以下の人では抑うつ発症のリスクが1.30倍高いことがわかり、3つの口腔機能(発音・表情・食事)がこれに関連していることが明らかとされた。

 研究では、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者のうち2010年時点で抑うつ状態にない者8875人を対象に、歯数(20本以上/19本以下)と3年後の13年時点での抑うつ発症の有無について追跡調査を行った結果を分析している。抑うつ状態の判定については高齢者用うつ病尺度(GDS-15)を用いて評価し、10年時点での「うまく話せない(発音の問題)」、「歯を見せて笑うのをためらう(表情の問題)」、「咀嚼困難な食べ物がある(食事の問題)」の有無の3つを口腔の社会的な機能低下に関する変数として用いている。

 その結果、対象者8875人のうち3年間の追跡期間中に抑うつ症状を発症した者は11.5%だった。現在歯数別で見ると20本以上の者で抑うつ症状を発症した者は9.2%であったのに対し、19本以下では13.1%となっており、歯数が少ない19本以下の者での発症割合がより高くなっている。因果媒介分析の結果、現在歯数が19本以下の者では、発症リスクが1.30倍高いという結果になった。口腔の社会的機能低下との関連では「うまく話せない」が12.4%、「歯を見せて笑うのをためらう」16.9%、「咀嚼困難な食べ物がある」21.9%となっている。

 歯の喪失は、栄養や炎症といった問題だけでなく、コミュニケーションに関わる「発音・表情・食事」といった社会的機能を低下させ抑うつ発症のリスクを上昇させているようだ。レポートでは「歯科治療などにおいて、患者の社会的な機能の回復という視点にも立って治療・介入を行っていくこと」が重要と指摘している。(編集担当:久保田雄城)

東北大が歯の喪失と抑うつとの関連メカニズムを解明。8875人のうち3年間の追跡期間中に抑うつ症状を発症者は11.5%。歯が20本以上の者では9.2%