有権者が選挙の際に考慮する内容とは?(データアナリスト・渡邉 秀成)

第49回衆議院選挙が間近に迫ってきました。現時点では選挙が行われる時期は定かではありませんが、衆議院議員の任期が残りわずかであるので、近いうちに選挙が行われるのは確かです。

そして有権者が選挙で投票する際に考慮する内容については、生活に密着した雇用、景気、医療介護が主なものであるのは、公益財団法人 明るい選挙推進協会の調査結果からも明らかになっています。

 

今回はこの有権者が選挙で考慮する内容で常に上位にくる、医療介護、年金について具体的な数値で観察していきたいと思います。

最初に医療介護に関連する数値について見ていきます。
新型コロナウィルス(COVID19)感染症で保健所の数が足りない等の報道が昨年から流れましたが、保健所の数は実際にどの程度減少しているのかをグラフ化したものが下記になります。(平成元年から令和2年)

データは全国保健所長会*1からのものです。
*1[http://www.phcd.jp/03/HCsuii/](http://www.phcd.jp/03/HCsuii/)

 

保健所総数は800前後で推移していましたが、令和2年度では469に減少していることがわかります。特に平成9年度以降に保健所総数が急激に減少していることがわかります。

予算等の問題もあるのでしょうが、以前のように800程度保健所総数が維持できていたら、新型コロナウィルス感染症対策に関しても、もう少し違った対応ができた可能性もありそうです。

この資料を【都道府県が設置主体】になったもので比較すると、秋田県以外は保健所数が減少していることがわかります。

日本地図イラストは*[Frameillust](https://frame-illust.com/?cat=256)を活用させていただきました。

続いて、有権者の関心事項として常に上位にランクされる年金制度について見ていきます。

金融広報中央委員の家計の金融行動に関する世論調査をみると、「年金でさほど不自由なく暮らせる」と回答する人の割合は7%前後で推移しており、圧倒的多くの人は「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」、「日常生活費程度をまかなうのが難しい」と回答していることがわかります。

将来、年金制度がどうなるのか?は多くの有権者の関心事項であります。

年々高齢化が進んでいることが次の地図からもわかります。

 

年々高齢化が進み、その一方で誕生する子供の数が少なくなると、年金制度について不安を感じる人が増えてもおかしくありません。

同じく金融広報中央委員では老後の生活についての考え方についての調査もしています。老後の生活について「心配していない」、「心配である」と回答した人の割合をグラフ化したものが次のものです。

 

老後の生活について心配している人が8割ほどで推移していることがわかります。心配していない人は2割程度です。多くの人は老後の生活について心配していることがわかります。

公益財団法人 明るい選挙推進協会が実施している意識調査を過去にさかのぼり、有権者が投票する際に考慮する内容について見てみると、常に年金関連の話題は上位に来ています。国民の年金に対する不安が解消されずに、現在に至っていることがこの調査からもわかります。
 
以上、有権者が投票する際に考慮する内容として常に上位にあがる、医療、保健、年金等について具体的な数値を用いて観察してきました。

国政選挙、地方選挙にかかわらず選挙公約に、医療費のムダ削減、行政機関のムダ削減等を公約に掲げる候補者が登場します。

そしてコストカット等は削減幅等が数値で表現されるので、コストカット前と、コストカット後を数値比較ができやすいのですが、生命身体の安全に関わる事項、基礎研究等のコストカットついては、慎重な見積もりが必要となることが、COVID19が教えてくれた大切なことの一つであることは間違いないとでしょう。

今回は有権者が選挙で投票する際に考慮する内容である年金、医療関係についての、具体的な各種数値を見てきました。

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