「にゃんピース」結成 『地域猫』提案 多頭飼育や殺処分減らす社会を

「学びの会」を通して地域猫活動の周知を始める「東彼・にゃんピース」の(左から)林田さん、大津さん、前平さん=川棚町

 飼い主のいない猫を地域住民で飼育管理する「地域猫」の活動を、長崎県の東彼川棚、波佐見、東彼杵の3町で広げようと、町民有志が「東彼・にゃんピース」を結成した。川棚町大崎地区での取り組みをモデルケースとして、地域猫の考え方を伝える「学びの会」を各地で開き、人と猫が共生できる地域社会を提案する。
 メンバーは、川棚町で保護猫カフェを営む大津かおりさん、同町大崎地区自治会長の前平泉さん、東彼杵町議の林田二三さんの3人。多頭飼育崩壊やペット遺棄、殺処分など猫を巡るさまざまな問題を地域の課題として捉え「猫好きも、猫嫌いも、平和的に話し合おう」という願いをグループ名に込めた。
 結成の動機は、大津さんが営む保護猫カフェに「猫を保護したが飼えない」といった相談が多く寄せられたため。カフェには里親を募集している猫もいるが枠には限りがある。「譲渡にはウイルス検査やワクチン接種など一定の費用と時間が必要。猫の保護には『かわいそう』だけではなく相応の責任と覚悟が伴う」と大津さん。飼い主のいない猫を地域で管理し、繁殖を抑制することで徐々に減らしていく「地域猫活動」の啓発を進める必要性を感じたという。
 メンバーの前平さんは、8年前に川棚町に移住。自宅近くの野良猫に軽い気持ちで餌を与えるうちに繁殖力の強さに驚いた。環境省によるとメス猫の繁殖期は年に2~4回で、1回に4~8匹出産。1年で20匹、2年で80匹、3年で2千匹以上に増える計算だ。「餌はあげるが自分の飼い猫ではないと無責任に考えていた。知らないうちに多頭飼育崩壊や殺処分のリスクを生んでいた」と振り返る。
 こうした反省から、自身が自治会長を務める大崎地区で地域猫活動を開始。地区内で飼い主のいない猫を捕獲し、不妊手術を施した上で元の場所に放す。住民にも周知することで、むやみな餌やりや繁殖を抑える効果も期待する。
 学びの会では、大崎地区の事例を紹介しつつ、地域猫活動の基本的な考え方やメリットについて伝え、理解を深めてもらう。2月に川棚町で開いたのを皮切りに各町で継続的に開く方針。メンバーの林田さんは「猫に対する感情や悩みは人によって違うため、住民間での丁寧な議論や合意形成が大切になる。地域に合った解決策を考えるきっかけにしてほしい」と語る。
 5月15日午後1時~3時に波佐見町折敷瀬郷の町総合文化会館で2回目の学びの会を開催する。参加希望者は5月7日までに事前の申し込みが必要。大津さん(電080.8554.3741)。 

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