【大滝詠一論2】
世界的に有名なギタリスト、マーティ・フリードマンが、平成生まれのアイドルと昭和の歌を語る連載。昭和歌謡好きで知られるBEYOOOOONDS・島倉りか(20)の推薦で、故大滝詠一さんの「君は天然色」を初めて聴いたマーティは、米国の懐かしいアイドルを思い出し、「日米アイドル論」を展開。そしてすっかり大滝ファンに!
――マーティさんが大滝さんの曲からリーフ・ギャレットを連想するとは…
マーティ ちょっと話がそれるけど、ギャレットはいわゆるアイドルでした。そのスタイルが日本のアイドルの世界に近いと思うんです。
島倉 そうなんですか?
マーティ カワイイ男が、1950~60年代のハッピーな定番曲をバージョンアップして歌って、バックではセッションのトップクラスの人たちが演奏してました。この3つの要素=カワイイ人が前、ハッピーな曲、スーパープロが演奏。これは日本のアイドルのフォーミュラ(やり方)と同じです。とてもいいフォーミュラだといつも思うんだけど、アメリカでは寿命が短くて、70年代中盤ぐらいだけでした。でも日本ではこのフォーミュラがどんどん進化してるじゃん。
――確かに日本のアイドルは70年代以降、長くそのスタイルです
マーティ いろんな街で48人集めたり、コンセプトが進化して、ハンパなく素晴らしくなってきました。こういう日本のアイドルの世界が僕の好みのど真ん中なんです。アメリカみたいにセリーヌ・ディオンやアデルのような超才能がある人ひとりをメインにするより、才能、憧れだけじゃなく、みんなが役割を持って、素晴らしいチームワークで取り組んでいる日本のスタイルの方が面白いし、楽しめます。この曲を聴いて、そんなことを思い出しました。
――まだ半分ぐらいしか聴いてないですが、大滝さんは曲の中に、マーティさんを刺激する要素を多数込めていたんですね。ではサビまでいきます
マーティ(♪色をつけてくれ~の後)このキメもフィル・スペクターのキメですね。
島倉 え~、そうなんですね! おもしろい。
マーティ(♪うるわしのColor Girl~のところ)このGirlも、フィル・スペクター定番の歌い方です。
島倉 へ~! 大滝さんの声はどう思いますか?
マーティ 最高に好きですよ。聴きやすくてすてきな声です。
――島倉さんは大滝さんの大ファンですが、どういうところが好きなんですか
島倉 声が好きです。聴いてるとドキドキする声なんです。こういうふうに感じるの初
めてでした。
――まるで恋してるような表現です
島倉 恋みたいな感じかもしれないです。
――マーティさん、声以外の部分は
マーティ フィル・スペクターをここまで再現できるのが、僕の心をつかみます。僕の好きな音楽を彼も愛していたのが伝わってきます。たぶん、レコードコレクションも似てると思います。今聴いたのはなんていう曲でしたか?
島倉「君は天然色」です。このアルバムです。
マーティ 僕は持ってないから、この後、このアルバム買います。
島倉 最近、ユーチューブにオフィシャルのミュージックビデオがupされたんですよ。今までなかったんです。サブスクも最近解禁されました。
――詳しいですね! 次は小林旭さんに提供し、大ヒットした「熱き心に」(85年)の大滝さん歌唱バージョンを聴いてみましょう
島倉 わたしは大滝さんのしか聴いたことがなかったです。
マーティ イントロが長いけど、やっぱりすてきな声です。メロメロします。
島倉 メロメロ! なんかわかります。
マーティ すてきな曲です。こっちは日本的ですね。この曲、僕なら女の子に歌ってもらいたいです。
――意外な発想! おじさんが歌ってるのしか聴いたことないです
☆マーティ・フリードマン 米・ワシントン出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍している。「紅蓮花」などをカバーしたアルバム「TOKYO JUKEBOX3」が発売中。伝説の音楽バラエティー「ROCK FUJIYAMA」がユーチューブで復活。
☆しまくら・りか 2000年8月20日生まれ。東京都出身。19年にBEYOOOOONDSとしてデビュー。ユニットCHICA#TETSUのメンバー。最新シングルはオリコン初登場1位の「激辛LOVE/Now Now Ningen/こんなハズジャナカッター!」。ハロー!プロジェクト2021春公演は「チーム花」で参加。