コロナ死者6割が施設内感染「高齢者への拡散早い」 沖縄県立病院シンポ

 沖縄県病院事業局は24日、南風原町の県医師会館で県立病院シンポジウム「新型コロナウイルス感染症、この一年を振り返って」を開いた。県や各県立病院の関係者が新型コロナの対応を振り返り、課題を語った。県内死亡者のうち約6割が施設内感染で、医療崩壊を防ぐため施設に対する支援の必要性が指摘された。

 県保健医療部の糸数公医療技監は「新型コロナから見えるウチナーンチュの姿」をテーマに基調報告した。県内の感染状況の特徴について「他県と比べて、世代間の交流が盛んで、高齢者に感染が広がるスピードが早い」と指摘。県内死亡者130例のうち、76例が施設内関連の感染であることを明かし「介護施設や医療機関、デイサービスに通う方などの間にウイルスが持ち込まれると集団感染が起きてしまう。ここをいかに防ぐかが重要だ」と述べた。

 県立中部病院感染症内科の横山周平医師は、高齢者施設で複数感染が発生した事例を報告し、平時から人員や予算が少ないことから施設での感染対策の難しさを指摘した。県内の高齢者施設で発生したクラスター(感染者集団)の特徴に、(1)職員や高齢者の施設掛け持ちによるクラスター連鎖(2)病院スタッフへの負担増(3)予防のための人員不足―の3点を挙げた。

 施設内でのクラスター発生が医療崩壊につながると危惧した上で「高齢者施設の全てが上手に感染対策に対応できるとは限らず、施設の企業努力にのみ頼ることはできない。突発的に生じた業務への積極的な支援が必要だ」と強調した。

 北部病院や南部医療センター・こども医療センター、宮古病院、八重山病院、精和病院の医師や看護師からも報告があった。

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