帰ってきた国見<上> 「快進撃」 何でもやれるチームに 高校サッカー 100回目の冬へ

3月に行われたサニックス杯のサガン鳥栖ユース戦、相手と激しく競り合う国見のDF高木佑介(右)。年代トップのチームが集う大会で健闘した=福岡県宗像市、グローバルアリーナ

 かつて強豪として名をはせた国見が、今、再び脚光を浴びている。1月の県高校新人大会を11年ぶりに制すると、2月の九州高校U-17大会も14年ぶりに優勝。年代別の日本代表候補にも続々と選出されている。昭和後期から平成にかけて全国高校選手権を6度制した名門が「高校サッカー100回目の冬」の年に新たなスタイルで帰ってきた。
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 3月中旬に福岡県で開かれたサニックス杯。年代トップのチームが集まったサッカーフェスティバルに、国見は九州王者として招かれた。他の参加チームは山梨学院、青森山田、帝京長岡(新潟)、矢板中央(栃木)と冬の選手権4強が勢ぞろい。有力なJクラブユースも名を連ねた。
 結果から言えば、国見はリーグ戦5戦中1勝しかできず、東福岡との順位決定戦も敗れて12チーム中8位に甘んじた。ただ、試合内容に目を向けると、今後の成長を十分に予感させる健闘ぶりだったと言える。
 青森山田戦(0-2)以外の5試合で得点を挙げ、帝京長岡には4-1で大勝した。最終的にこの大会で優勝するサンフレッチェ広島ユース戦も先制点を奪い、1-1からのPK戦で惜敗する接戦を演じた。
 善戦の要因は対応力の高さにある。「相手との力関係で、やるサッカーは変わってくる」と監督の木藤健太(39)は説明する。ボールを保持する正攻法はもちろん、分が悪くなれば速攻やパワープレーもできる。試合の流れを見ながら適応できる引き出しの多さは大きな強みで、九州を制した際に注目された。
 サニックス杯初日のサガン鳥栖ユース戦を例に挙げると、正攻法で戦った前半11分までほぼ何もできずに2点を失ったが、ここから路線を変更。前線が守備の強度を高めてミスを誘う戦い方に切り替えると、見違えるほど攻撃が活性化して2得点を挙げた。最終的に2-4で敗れたが、昨年末のU-18日本クラブユース選手権覇者を相手に、2失点後の残り70分間は互角の内容だった。
 かつて圧倒的な走力と体力を武器に頂点に君臨した国見。今は「何でもやれるチーム」に生まれ変わり、復活の兆しを見せている。「相手の立場になれば、何でもやれるチームが一番嫌だと思う。つかみどころがないチームをつくりたい」(木藤)。目指すは全国上位。まだまだ発展の途上にいる。(敬称略)


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