帰ってきた国見<下> 「副産物」 2人が代表候補に選出 高校サッカー 100回目の冬へ

U―18日本代表候補に選ばれた国見のGK緒方(左)とU―17日本代表候補のMF北村

 国見の躍進は、思わぬ副産物を生んだ。3月25~28日に行われたU-18日本代表候補のトレーニングキャンプにGK緒方要(17)が選出。現在実施中のU-17日本代表候補合宿(4月12~15日)にもMF北村一真(16)が選ばれている。
 緒方は淵中1年時にフットサルから転向。2年時にGKへコンバートされ、高校入学後に専門コーチの指導を受けて才能が開花した。184センチの長身を生かしたハイボール処理に定評があり、九州高校U-17大会で準決勝、決勝の無失点勝利に貢献。来場した多くのスカウトから注目され、今回の招集に至った。
 代表候補入りしたのは各校やユースチームの精鋭25人。緒方にとって、名の通った選手たちと寝食、練習を共にするのは初めての経験だった。「注目されるような選手は練習前に念入りにストレッチをしたり、練習中もみんなを鼓舞する声を出していた」。4月から正式に主将に決定した身としても、見習うべき点は多かった。
 新2年生ながら10番を背負う北村はチームの司令塔。全国屈指の強豪校やJクラブユースが集った3月のサニックス杯で関係者の目に留まった。サニックス杯に出場できたのも九州大会の優勝があってこそ。緒方同様、チームの好結果が選手個人の可能性を広げる成功例になっている。
 「こんなレベルの高いゲームは初めて経験した。ボールに対する強度、パスの質が圧倒的に違った」。サニックス杯のサガン鳥栖ユース戦後、そう興奮気味に振り返っていた北村。青森山田など強豪チームと直接体をぶつけ、トップまでの距離を肌で知ることができた。かなりの収穫と言える。代表招集を経て、成長のスピードはさらに高まるはずだ。
 高校サッカーにおいて、新人大会戦線が一段落ついた2、3月は新年度に向けて「試す時期」と位置付けられる。充実の春を経て、国見はどのような進化を遂げるのか。
 4月に入り、プリンスリーグ九州や各県リーグなどの公式戦が開幕した。6月には、最初の大目標となる県高総体が控える。100回目の冬から逆算したチームづくりが、いよいよ本格化する。


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