2連勝を飾りタイトル獲得を目指す野尻智紀「本当にチームのみんなに感謝」【第2戦鈴鹿決勝会見】

 4月25日に鈴鹿サーキットで開催された2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦。決勝レースで優勝を飾った野尻智紀(TEAM MUGEN)、2位の平川亮(carenex TEAM IMPUL)、3位の笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、そしてTEAM MUGENの田中洋克監督が決勝後の会見でレースを振り返った。

野尻智紀(TEAM MUGEN)

決勝:優勝

「今日のレースは、正直僕のレースじゃないかなというところもあり、レース序盤でもうすでに厳しいなと思っていました。福住(仁嶺)選手とはスーパーGTでチームメイトですし、彼の気持ちを考えると素直に喜べないところもちょっとあります。でもそこはチームのみんなの頑張りもあるので、喜ばないといけないという葛藤もあります」

「本当に今週は走り始めの調子があまり良くなくて、これは僕がオーダーしたクルマの方向性が間違っていて、そのあたりでチームのみんなにハードワークを強いてしまいました。それでも、常にすごい完璧に仕事をこなしてくれたので、本当にチームのみんなに感謝です」

「次戦に向けて、またここからひとつひとつのピースをはめ込んでいかないといけません。しっかりと地に足をつけ、次戦オートポリスでまた高く飛躍できるように、インターバルのあいだに準備をしたいと思います。本当に沢山の方々に応援していただき、支えてもらった優勝だと思います」

「(福住選手がバーストしてしてしまった瞬間は)さほど僕の作戦に影響はなかったのですが、気持ちとして、正直DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのクルマがバーストするというのは過去を振り返っても印象がありませんでした。自分のクルマもバーストしたことはなかったですが、嫌な心配が最後までつきまといました。けれど、ここで緩めてはいけないと思うし、タイトルを本気で獲りにいくのならば『ここはプッシュし続けないといけない』と気持ちを切り替えて、最後まで集中を切らさずに走ることができたかなと思います」

「クルマは、昨日の予選が終わって、今のパフォーマンスで燃料を積んだら、どういう風なクルマになるかということを想像しながら、また少しロングラン向けにアジャストしました。そのイメージと、今日の朝に走り出した、実際のクルマのフィーリングがすごい近かったので、その瞬間かなりの手応えを僕とチームは得られていました。なので、クルマとしてはすごい良いところにまとまっていたと思います」

「次戦は昨年優勝したオートポリス、その次は初優勝を飾ったスポーツランドSUGOということで、思い入れというか良いイメージは当然あります。ですが、逆にそれに引っ張られても良くないと思うので、すごくまっさらなところからスタートしたいなと思います」

「昨年のオートポリスは優勝しましたが、圧倒的にペースが良かったのは山本(尚貴)選手でした。その点も踏まえて、改善するべき点はしっかりと改善をしなくてはいけないので、それを怠ることなく、妥協なくやっていきたいと思います」

TEAM MUGEN 田中洋克監督

「いまの気持ちは、ただただ本当に嬉しくて、言葉が出ないくらい嬉しいです。あまり顔はそんな表情をしていないかもしれませんが(笑)、本当に嬉しいです」

「今年は体制が変わりましたが、チームのメンバーがずっと作ってきたものです。たまたま、そのタイミングで今年監督になっただけで、僕が大きな仕事をしているわけでありません。チームのみんなの努力のおかげです」

「あとは野尻選手ですが、メンタル的にすごい強くなったなと思います。昨日のフリー走行で調子が悪く、通常ならば気持ちが下がっていくような雰囲気がこれまでだったらありました。ですが、きっちりと予選で持ち直し、決勝では優勝できたということで、野尻選手はすごい強くなったなと思います」

「自分のことで言うと、まだ監督という板には乗っていない気がします。自分で何ができるかというのもいろいろと考えていますけど、まだ監督として馴染んでいないところもあると思います。ですが、この先は自分のやりたいことをいろいろと形にしてやっていきたいと思います」

「このスーパーフォーミュラというカテゴリーで、2戦連続で勝つということは本当に至難の業だと思います。これは当然チームとドライバー、スポンサーさん、そしてファンのみなさんの応援があってのことなのですが、自分でも怖いくらい“出来すぎ”です」

「ただこの勢いなら、なんとなく次もいけるんじゃないかなと思っています。ここまで良い成績でこられるとは思ってもなかったですし、調子に乗っているなとも思われるかもしれないですが、次戦でも優勝、連勝を目指して頑張りたいと思います」

2021スーパーフォーミュラ第2戦鈴鹿の表彰台

■代役ながら初表彰台の笹原右京「チームのサポートに感謝」

平川亮(carenex TEAM IMPUL)

決勝:2位

「久しぶりの表彰台なので、まず嬉しいです。鈴鹿サーキットは自分的には得意ではないと思っていたので、そのなかで昨日の予選もうまくまとめて良いポジションが取れました。今日のレースもしっかりとトップ争いに絡めていたので、チーム、そして自分としても成長していることが実感できましたし、今後に向けての自信にもなりました」

「ただ、野尻選手が2連勝をしていて、ポイントランキング的には大きく離されてしまっていて、さらに今年は予選でのポイントも獲得できていないので、そのあたりはまだ差があります。でも、これから夏になって自分が得意とするもてぎ戦もあるので、そこに向けて、しっかりと流れが作れているのかなと思います」

「ですが、もっと上にいかないといけません。次戦のオートポリスはすごい好きで自分としては得意だと思っているので、しっかりと準備をして臨みたいと思います」

「今回はチームメイトの関口(雄飛)選手も調子が良かったです。やはり2台で速いほうがいろいろと比較できるので、今週はその部分で助けてもらったことも少しありました。そこは非常に良かったと思いますし、自分としてはチームメイトがいなくても、ひとりでやれるような力をつけたいと思っていましたが、今回は逆に助けられ、チームにも助けられました。2台で上位を争っているほうがチームの士気も高いので、そこは非常に良かったと思います」

「次戦のオートポリスに向けて、特になにかは考えていないですが、うまくレースをすれば勝てると思うので、いつものようにしっかりと事前の準備をして、週末きちんとまとめきれれば良い結果が出ると思います。そこは深く考えすぎず、楽しんでいければと思います」

笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

決勝:3位

「まずは優勝した野尻選手おめでとうございます。おなじチームの福住選手がああいったトラブルでレースを失っているのですが、正直、3位表彰台に結果として立てたのは、ひとつのステップに踏み出せたのかなと思います」

「自分自身は週末を通して、いまひとつスピードに欠けるというか、いま一歩足りない状況がずっと続いていました。ですが、チームのみなさんが一生懸命サポートをしてくれ、粘り強く耐えたレースができたからこそ、ここにいられると思うので、本当にチームのみなさんに感謝しかないです」

「僕も最初のほうで大きなミスをしてしまい、結構大きなフラットスポットを作ってしまいました。当然振動も大きかったですし、福住選手のトラブルも目前で目撃していたので当然心配でした。ただ、僕は代役で参戦させて頂いているので、当然チームのためにポイントを持って帰るというのが第一のタスクとしてあります」

「ですが、やっぱり自分の人生なので(アクセルを)緩めたくなかったというか、最後まで悔いなく全力で走りたいと思っていました。そういったことがこの結果に繋がったとしたならば、ポジティブに捉えたいなと思っています」

「(代役参戦は)間違いなくプレッシャーは大きいですし、本当にフリー走行の走り始めから決勝が終わるまで、1周1周すべてが最後のチャンスだと思って走っていました。プレッシャーも大きかったですし、今回もそうですが、いつどのタイミングで出場できる・できないというのは、チームのみなさんとの話し合いのなかで決まっていきます」

「本来、年間を通して出場できるのであれば、もっといろいろな準備ができます。ただ、こういった代役となると、本当に限られた時間しか当然ありません。でも、今日に至るまでもそうですが、毎日自分の時間をきっちり見つめ直して、本当にやれることを精一杯やってきました」

「とにかく大変な状況ではありましたが、チームが一生懸命献身的にサポートしてくれたので、本当にクリアな状態でレースに挑めていました。そのサポートには感謝しかないです」

2021スーパーフォーミュラ第2戦鈴鹿 2位の平川亮(左)と3位の笹原右京(右)

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