「カンメ海岸」を美しく 五島・崎山の良さを再発見、環境整備を

神爪海岸のごみ回収などに取り組んだ橋本さん(左)ら有志。奥の岩場にこいのぼりを揚げている=五島市向町

 長崎県五島市の崎山地区公民館館長、橋本憲治さん(61)ら有志が、ごみの漂着や不法投棄が目立っていた地元の神爪(かづめ)海岸を整備した。岩場には、寄付で集まったこいのぼりも揚げる。橋本さんは「崎山の美しい自然を取り戻し、地元の良さを再発見してもらうため環境を整備したい」と話す。
 同海岸は、地元では通称「カンメ海岸」と呼ばれ、数万年前の火山活動の様子が分かる貴重な地質の見どころがある。同市出身のアニメーション美術監督、山本二三さんがふるさとの魅力的な風景を描く「五島百景」にも含まれている。
 橋本さんは昨年12月、同地区まちづくり協議会の一員として不法投棄のパトロールをした際、漂着物の他に空き缶やビン、弁当がらなど、ごみの多さにがくぜんとした。釣り客などが捨てたとみられるという。
 有志約10人と回収に取り掛かり、その量は2トントラック5台分に及んだ。海岸沿いの長さ130メートルほどの土地に草木が生い茂っているのも、ごみを捨てやすい原因と考え、所有者の了解を得て整地。地元の建設業者がトラックや重機を無償で貸し出してくれた。4月には休憩所も完成。今後は、芝生やツバキを植えたいと考えている。
 さらに「カンメの空に鯉のぼり事業」と題し、使わなくなったこいのぼりの提供も地域にお願いしている。現在は10匹ほどが泳ぎ、今後増やしたい考えだ。
 橋本さんは「近くの海岸も漂着物やごみが多いので、きれいにしたい」と意気込む。

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