原巨人の〝292発コンビ〟スモーク&テームズ初昇格で期待される中島の手腕

一軍に初昇格するテームズ(左)とスモーク

原巨人に〝最終兵器〟が投下される。新外国人選手のジャスティン・スモーク内野手(34)とエリック・テームズ外野手(34)が27日のヤクルト戦(神宮)から一軍に初昇格する。2人合わせてメジャー通算292発コンビの爆発に期待が膨らむ一方で、異国の地でいかにチームに溶け込むかも重要だ。日本人選手たちとを結ぶパイプ役として、あのいぶし銀がキーマンに浮上している。

25日の広島戦(東京ドーム)は壮絶な展開となった。投手陣が今季ワーストを更新する16安打を浴びながら、2―8の8回に大量6点を挙げて同点。最後は9回に6番手で登板した中川が勝ち越しを許して8―9の惜敗となったが、原辰徳監督(62)ら首脳陣の元には待ちに待った〝吉報〟がもたらされていた。この日までイースタン・リーグへの出場を続けていたスモークとテームズから、ついに準備万端の合図が示されたのだ。

試合前に阿部二軍監督らと連絡を取り合ったという原監督は「『スタンバイ』ということで。(二軍戦後の体調などに)変わりがなかったら合流する」と明言した。メジャー通算196発を誇るスモークは二軍戦で打率3割3分3厘(18打数6安打)、0本塁打、5打点。同じく96発のテームズはこの日まで2戦連発を含む打率5割(22打数11安打)、4本塁打、15打点と圧倒的な成績を叩きだしていた。新型コロナの陽性判定で離脱した丸ら4選手もすでに復帰。これで原監督が昨オフに描いた戦力構想の最後のピースが埋まる形となる。

ただ、本番はここからだ。期待通りの活躍をできるかどうかは、周囲の環境によっても左右される。二軍ではウィーラーが積極的にコミュニケーションを図る姿が見受けられたが、日本人の首脳陣や選手たちといかに打ち解けられるかがカギとなる。

昨今の巨人では助っ人に対しても融和ムードをつくる土壌ができつつあるが、中でも〝接着剤〟としての適任者がチーム最年長の中島宏之内野手(38)だ。

マイナー経験もあり、渡米前後の西武やオリックスでも外国人選手とは親交を深めていたが、巨人ではその〝特殊能力〟がさらにパワーアップしている。巨人に加入して1年目の2019年、極度の打撃不振で二軍に降格した中島にこんな出来事が起きていた。

こちらも不振から抜けだせないビヤヌエバも長い長い二軍生活。当時を知るファームスタッフによると「最初のうちは良かったんですけど、ビヤも途中からスネてしまったのか、コーチ陣にアドバイスを求めに行ったり、話しかけに行くこともなくなってしまったんです。だけど、ナカジには自分から話しかけたり、コミュニケーションを取って打ち解けていました」という。

この日は、一時同点に追いつく2点適時二塁打を放ち、指揮官も「さすがですね」とうならせた大ベテラン。そして、すっかり心を閉ざしてしまった助っ人までをも、なぜか引き寄せてしまう不思議なパワーも今なお健在だ。待望のダブル大砲が合流した後も、中島が大きな力を発揮しそうだ。

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