【マイラーズC】ケイデンスコール全盛期突入 岩田康の代打・古川吉がベテランの味

代打騎乗の古川吉がケイデンスコールを勝利に導いた

25日のGⅡマイラーズC(阪神芝外1600メートル=1着馬に6・6安田記念優先出走権)は、2番人気のケイデンスコール(牡5・安田隆)が中団から差し切りV。岩田康から急きょ乗り替わって騎乗した古川吉が代打として最高の結果を出した。勝利を呼び込んだポイント、長かった低迷期を脱した理由は一体何だったのか?

絶好枠を生かしてハナを主張したベステンダンクにフォックスクリークが絡んで互いに譲らない。3ハロン通過33秒3というスプリント戦並みのハイペースになって馬群は縦長に。そんな中、ケイデンスコールは、いつもよりやや後ろの中団の位置。鞍上の古川吉にとっても「もう少し前で運ぶつもりでしたけどね」とイメージとは違ったようだが、「じっくり構えました」と慌てず騒がず脚を温存させた。この判断が勝利を呼び込んだポイントのひとつ。直線で外に持ち出されると、力強く脚を伸ばし、ゴール前でグイッと前に出た。

もともと騎乗予定だった岩田康が前日の阪神競馬で粗暴な行為、発言のため即日騎乗停止になり急きょの乗り替わり。加えて全くのテン乗りという状況で冷静に競馬を運べたのはベテランならではのテクニックだろう。

「(事前に)走った時のレースだけを見て、いいイメージを持って乗りました。期待通りの走りを見せてくれましたし、乗せていただいたことに感謝です」と充実した表情を見せた。

安田隆調教師も「右回りの1600メートルでどんな競馬になるか半信半疑でしたし、ハイペースもどうかと思いましたが、ジョッキーがうまく乗ってくれましたね」と鞍上をたたえた。

ケイデンスコールは、これで今年重賞を3走して①②①着。2歳時に新潟2歳Sを勝ってから2年以上勝ち星がなかったのがうそだったかのような快進撃を見せている。しかも、完全復活というより、むしろスランプ前よりパフォーマンス+安定感が向上した“進化形”。今こそがこの馬の全盛期だ。この勝利で6・6安田記念の優先出走権を手にし、安田隆調教師は「これで胸を張って行けます」と明言した。

次に狙うのは当然、GIタイトル。もともと3歳時にはNHKマイルCで、海外GⅠ馬アドマイヤマーズに半馬身差(2着)まで迫った実力馬。その当時よりも力量がアップしているとなれば…。安田記念制覇は十分に視界に入ってくる。

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