経営の専門家や士業従事者らが紐解く「新時代の働き方」 第90回 起業と転職の際のマインドセットの作り方

©株式会社マイナビ

テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大氏が「起業と転職の際のマインドセットの作り方」について話します。

書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。今日は、人生100年時代の新しい働き方について考えてみたいと思います。参考にしたのは『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』(SBクリエイティブ刊)です。著者の村上臣氏は元ヤフーの執行役員兼CMOで、現在はLinkedIn(リンクトイン)の日本代表として活躍します。

転職2.0時代の働き方

村上氏は転職2.0の時代が訪れたと言います。

会社の寿命よりも個人の労働寿命のほうが長くなり、人が職業人生において何度も転職を経験するのが当たり前になるこれからの時代は、転職の目的は転職自体であってはなりません。上位の目的は「自分株式会社の時価総額の最大化」であり、転職はその手段と捉え直すべきだというのが、転職2.0の軸になります。 その意味で、短期志向であり、場当たり的であった転職1.0に対して、転職2.0は戦略的であり、逆算型です。また当然、目的が変われば、「行動」「考え方」「価値基準」「人間関係」も変わってきます
(村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』より引用)

「転職1.0(旧型のキャリアの価値観)」から「転職2.0(新型のキャリアの価値観)」へシフトすることで、よりよい人生を送れるようになります。好きなことを仕事にすることで、自分のキャリアが高まり、様々な会社からオファーを受けられます。今後は自分の市場価値を高めるような働き方をすべきです。

元ヤフーの代表取締役の宮坂学氏は 「株式会社俺」と言う考え方を社員に伝えていたそうです。自分自身の経営者になることで、自分の可能性を広げられ、幸福度を高められます。「会社事業部」「家族事業部」「アウトドア事業部」など、自分のなかに事業の柱を持つことで、仕事とプライベートを充実できます。

会社だけの人生ではなく、多様なコミュニティに所属することで、自分の価値を再発見できます。他業種の人と話すことで、自分の価値や強みを教えてもらえます。同じ業種の人だけでなく、多様なつながりをつくり、自分の価値の棚卸を行いましょう。

著者は転職2.0で「我慢ゼロの働き方が実践できるようになる」と言います。異動により人間関係や職種が変わることで、多くのビジネスパーソンは我慢を選びますが、今後は会社に見切りをつけ、自分をアップデートすることが正しい選択になるかもしれません。自分の未来のキャリアから逆算し、どう生きるかを考えましょう。自分の市場価値とキャリアアップの2軸で考えることで、答えが見えてくるはずです。

転職が当たり前になるなかで、組織と個人の関係もフラットになり、我慢が美徳でなくなります。自分の価値を求めてくれる会社に出会うことで、残業やパワハラからも逃れられます。自分をアップデートし価値を提供することで、新たな会社との出会いをデザインできるようになるのです。

自分をタグ付けし、情報発信しよう!

転職に向けた行動として、「転職1.0」で重視されたのが間接情報を得ることだったのに対し、「転職2.0」で重視されるのが「タグ付け」と「発信」です。この「タグ」が市場価値を高めるための軸となるからです
(村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』より引用)

著者はポジション、スキル、業種、経験、コンピテンシーという視点で自分にタグをつけるとよいと言います。自分にタグをつけることで自分の市場価値がわかり、タグを使って情報発信をするうちに、その価値を高められるようになります。

私は過去に4回転職し、今は独立して社外取締役やアドバイザーをしています。11年前に自分にタグ付けをし、ソーシャルメディアやブログでの情報発信を開始しました。最初の頃は、広告・ソーシャルメディアの専門家、iPhoneのビジネス活用といったタグを使っていましたが、その後、出版や上場を契機に自分のタグをどんどん増やしていきました。著者、書評ブロガー、上場支援、経営者の壁打ちなどのタグによって、多様なネットワークを築けるようになります。

結果、自分のやりたい仕事ができるようになり、仕事の幅も広がりました。今では、本業だったマーケティングの仕事もしていますが、経営者のアドバイザーとして働く時間も増えています。付き合う人が変わったことで、読む本も変わり、アウトプットの質を高めることができ、ブログ経由でのチャンスも増えています。

チャレンジをして成果が出れば、「できた」という自信が積み重なります。この自信を積み重ねていくことが非常に重要です。自信が積み重なると、より大きなチャレンジへの恐れがなくなります。自分がやりたい仕事と会社から寄せられる期待が釣り合うようになると、毎日が楽しくなります
(村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』より引用)

転職をするのが当たり前になるなかで、ネットワークが今後大きな武器になることは間違いありません。つながりを広げていく際には、理想のベンチマークを持つとよいでしょう。私はコネクターと呼ばれる人たち、業界のハブになっている人たちの行動を真似、勉強会を開催したり、動画で番組を作り、会いたい人に会える環境を作りました。

ソーシャルメディアで情報発信をするうちに出版や連載の機会をもらい、自分をアップデートすることができました。雑誌やWEBでベンチャー経営者のインタビューを企画したことで、若い経営者の考えを知ることができました。多様なネットワークを構築したことが、私のアイデアの源泉になっています。

ネットワークがあれば、新たな仕事をもらえたり、転職のチャンスが増えます。自分が持つネットワークに情報や自分の価値を流せば、よい話が寄せられてきます。

業界の枠を超えてネットワークを構築しておけば、より大きなチャンスが手に入ります。会計、財務、マーケティングなど多様なネットワークを持つことで、自分の可能性を広げられるだけでなく、失敗したときにも様々なサポートを受けられるようになります。

自分の市場価値を高めるために自分の価値を棚卸し、タグ付けをして、発信しましょう。自分のネットワークを広げていくことで、価値を見つけてくれる人が増え、チャンスが広がっていきます。 自分オリジナルのタグのポートフォリオを作ることで、唯一無二の存在になれ、仕事のオファーが増えていきます。著者のアドバイスは転職だけでなく、起業やビジネスにも応用できます。本書のマインドセットを取り入れ、起業や転職での成功を勝ち取りましょう。

参考書籍
「転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール」
著者:村上臣
出版社:SBクリエイティブ

徳本昌大

とくもと