加藤シゲアキ主演の「モダンボーイズ」取材会&ゲネプロをプレーバック!「“僕じゃない人が演じていたら嫉妬してしまうのではないか”と思った」

NEWS・加藤シゲアキ主演の舞台「モダンボーイズ」は、日中戦争前夜、プロレタリア革命を志す学生・矢萩奏(加藤)がレビューに魅せられ、自分にしかできない革命を見いだしていく物語。1994年に木村拓哉の主演で初演された青春群像劇だ。ここでは、東京公演開幕前に行われた取材会と公開ゲネプロをプレーバックする。

取材会で、脚本を務める横内謙介氏が「加藤さんがやられるんだったら(作家の)菊谷栄の役の方がいいんじゃないかという話があったんです。それで、どちらでもいけるようにプランを立てていたら、加藤さんが『いや、木村拓哉先輩がやったことを継承したい。あわよくば、木村超えを狙いたい』と(笑)」と制作秘話を告白。加藤は「そんなこと、言ってないです!」と“木村超え”は否定しつつも、NEWSのツアー期間とも重なり多忙を極める中、「僕じゃない人が演じていたら嫉妬してしまうのではないか」という強い思いでこの役に挑んだという。

一幕冒頭、舞台に登場した矢萩は学生服姿。早稲田大学に通いながらプロレタリア革命を志す学生の知性を漂わせる。レビュー作家の菊谷(山崎樹範)と同じ青森出身という縁でレビュー小屋で世話になるものの、周囲になじもうとはしない。そんな矢萩の心をほぐしたのは、それぞれが事情を抱えながらも、明るくレビューを繰り広げるレビューガールや芸人たちの温かさだった。やがて矢萩自身も自分の中にあった“音楽”を思い出し、浅草エフリィという芸名でレビューショーのスターへと変身を遂げる。

知的で憂いがある学生とレビューショーのスター。真逆とも思える表情に説得力を持たせて体現できるのは、小説家でありアイドルである加藤ならでは。前半で歌った「My Blue Heaven」では哀愁を漂わせ、後半ではスターの華を全開に咲かせて歌うなど、歌声でも矢萩の変化を豊かに表現した。

緊迫した時代に“劇場の扉を開け続ける”意味を問う物語は、エンターテインメントの不要不急を問われる現状とも重なる。舞台に立つ人間の葛藤、娯楽を必要とする人々の思いが切実に描かれていて、「いろんな部分で心に響く作品になったのではないか」という加藤の言葉通り、登場人物たちが語る思い一つ一つが心を打つ。悩みや葛藤を経た上で「1歩踏み出す勇気をもらえるような物語」と加藤がアピールする物語のラストも美しかった。

撮影/古賀良郎

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