「キンザー跡、未来都市に」建築士ら勉強会 パルコ前に「軍港なし」提案

 【浦添】2025年度以降に返還予定の浦添市西海岸沿いにあるキャンプ・キンザーについて、跡地開発を含めた西海岸地域のまちづくりを考える勉強会が22日、浦添市の西洲団地ホールで開かれた。ウェブでの視聴も含め約30人が参加した。市内で設計事務所を構える1級建築士の福村俊治さんが登壇し、海や里浜を生かしつつ、既存市街地と跡地開発を一体的に進める「沖縄型未来都市計画」構想を提案した。

 浦添市西海岸は今後、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の代替施設(49ヘクタール)建設が予定されるほか、民港部分として浦添ふ頭地区側109ヘクタールを埋め立てる計画がある。

 福村さんは「ビーチの目の前に軍港があったら行政が掲げる世界水準のリゾートになり得ない」と指摘した。その上で「将来の沖縄にとって何が大事か。建物は造り直せるが、いったん埋め立てると直せない。これからの時代は経済よりも環境が大事であり、沖縄は自然を売りにすべきだ」と語った。

 跡地開発を巡って浦添市は、4月に新設した跡地未来課を中心に跡地利用基本計画の見直し作業を進めている。

 福村さんが示した計画では、埋め立ては軍港とクルーズ船バースのみとして、軍港の位置については、現在の市西洲の港湾地区を先端部分とした。キンザー跡地開発については、既存の地形や建物を生かしつつ、緑あふれるまちづくりを掲げた。

 滋賀県出身の福村さんは本業の傍ら、大田昌秀県政時代の「国際都市形成構想」の策定などに携わってきた。福村さんが示した構想案について勉強会では評価する声が相次いだ。福村さんは「この案はあくまでたたき台。まちづくりは住民がやるべきだ。行政任せにしてはいけない。議論を深めて、計画をつくることが大事だ」と述べ、今後は市とも連携していく考えを示した。

 勉強会は県中小企業家同友会ビジネス連携部会「ゆいま~る」が主催した。

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