第15回「コラムが書きたい」

コラムが書けません。コラムの締め切りを28日ほど過ぎてしまいました。セミなら死んでいます。毎回締め切りの前日に、担当の方から「書けてますか?明日ですよ」とご連絡をいただくのですが、今回はとくになかったので「もしかして3月で終わり?」と不安になってこちらから確認の連絡をとりました。「4月からも今まで通り送って良いのでしょうか?」と聞くと、「もちろんです。書籍化できるまでお願いします」と嬉しいお言葉が返ってきて、それから急にコラムが一文字も書けなくなりました。書籍化。重すぎる。それからも「コラム、どうですか?」「できたら送ってください」「心待ちにしている読者が多いのでお願いします!」と何度も送っていただいて、ついには連絡を返せなくなってしまいました。最低な人間です。わたしはプレッシャーに弱く、期待されればされるほど何もできなくなってしまうのです。

今年の4月1日、エイプリルフールにも同じ現象が起きました。わたしは毎年エイプリルフールをとても楽しみにしています。自分を季節の行事に例えるなら、エイプリルフールかハロウィンだなと思うくらいに、いたずら好きのわたしにとって大好きなイベントのひとつです。

ある年は、Twitterのアカウント名を「母」に設定し、地下アイドルの母親の設定で「早く就職してほしい」等と架空の嘆きを投稿しました。またある年は、公式LINEのアカウント名を「会社」に設定し「起きてますか?早く出社してください」と送ったり、今度は「父」になりすまし「昨日テレビでやっていた地下アイドル特集でお前に似た人が映っていたぞ」と、アイドルファンなら一瞬ドキッとするような嘘を送ったこともありました。わたしの嘘は毎年それなりにファンの方に反響があり、マイナーなまとめブログや音楽サイトでも話題にしてもらいました。

そして去年、さらにみんなを驚かせたくなったわたしは、自分のホームページを表示速度が爆速として知られる阿部寛さんのホームページのデザインとそっくりに変更しました。公式LINEの名前を「ヒロシ」に変え、「ホームページをリニューアルしました」のメッセージとリンクを送信。これは盛り上がるぞ、と自信満々に発表しましたが、一番手間をかけたのに思ったよりウケず、有名人のパクリということもありネットニュースにも一切相手にしてもらえませんでした。ショックのあまり元のデザインに戻すこともできず、いまだにわたしのホームページはニセヒロシです。

今年もエイプリルフールが近づき、わたしは緊張していました。エゴサーチをすると「今年は絵恋ちゃんどんな嘘をつくのかな?」とファンの方たちが楽しみにしてくれています。命を削る思いで嘘の候補を考えては、このレベルの嘘ではプロのエイプリルフーラーにはなれない、皆さまにご満足いただけない、と苦悩し、どうにかなりそうな日々でした。そして迎えたエイプリルフール当日、わたしは嘘をつくことができず、嘘をつけなかったことにたいする謝罪文だけをTwitterに投稿しました。こんなに正直なエイプリルフールは初めてです。

今月はコラムが書けず申し訳ありませんでした。とにかく期待が敗因です。期待さえされなければわたしはうまくやれると思います。来月はきっと、かならず、素晴らしいコラムをお届けいたします。ご期待ください。

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