変動金利の最安はどこ?変動金利と固定金利はどちらが有利?いま知りたい住宅ローン最前線

コロナ禍の緊縮財政で家計を絞る人が多い一方で、意外にも住宅を新規で購入する人も増えているという話しを聞きます。緊急事態宣言を受けて自宅にいる時間が増えたり、リモートワークが一般化してきたことから以前よりも自宅にいる時間が長くなった分、居住性の質や広さを求める方も増えていようです。

今回は、そんな中で変化し続けている住宅ローンについて2021年4月時点の最新動向を紹介します。


みずほ銀行の変動金利“最安”に注目!

まず、変動金利についてですが、ここ数年、最安上位を争っているジャパンネット銀行、auじぶん銀行、住信SBIネット銀行を下回る変動金利を提示する銀行が現れました。それがみずほ銀行です。

システム障害などで問題がありましたが、お客様との関係を取り戻す狙いなのか大幅な金利引き下げを行ってきました。3月時点では0.475%だった金利が4月では0.375%と、ジャパンネット銀行の0.380%を抜いて最安になっています。ちなみにこのジャパンネット銀行はYahoo!系列ですが、LINEとの経営統合により4月5日よりPayPay銀行に名称が変わっています。

そもそも3大メガバングループの中で、三菱UFJはauと組むことでauじぶん銀行を運営し、SMBCも三井住友信託銀行とSBIが組んで住信SBIネット銀行があります。みずほ銀行はこの住宅ローン最安領域に銀行本体として乗り込んできた形になります。ただし、手続きはネットに限定されており、窓口では0.575%となっているようです。

また、auじぶん銀行は、auの携帯電話に加入し、じぶんでんきを利用するという条件付きで0.31%という金利を打ち出していますが、バンドル条件なのであまりお得とは言えません。

例えば4,000万円の住宅ローンを0.41%と0.31%でどちらも35年借りた場合の支払い額の差は、73万円となります。35年で割り戻すと年間2.08万円となり、月になおすと1,738円となります。最近の格安携帯は3000以下が主流となりますので、auの携帯電話の月額費用を仮に7,000円程度と考えると、4,000円の差がおこります。どうしても携帯はauでなければダメということでなければこの金利差を考える必要は無さそうです。ちなみにauの新サービス「povo」はこの金利引下げの対象外になっています。

住宅ローンを借りる際の注意点

銀行から住宅ローンを借りる場合は、金利以外にも以下の点を押さえておきましょう。

住宅ローンの手数料
変動金利の手数料は借入額の2.2%などが多いですが、新生銀行や楽天銀行のように手数料を固定にしている銀行もあります。借入金額が大きくなったり、借入期間が短いと手数料固定の金融機関を選んだ方が返済総額が少なくなることもあるので、複数を比べてみましょう。

保証金の有無
住宅ローンを借りる際に、保証会社への費用を利用者が負担する金融機関があります。この保証料の負担がなく0円のところも多くあるので注意しましょう。ちなみに、さきほどのみずほ銀行は、3.3万円の保証会社事務手数料が発生しますが、PayPay銀行(ジャパンネット銀行)はかかりません。

団体信用生命保険
団体信用生命保険は、借りた方が亡くなった場合に借りたお金を返済しなくてもよいという保険で、遺族に負担が行かないようにするものです。通称、団信(だんしん)と言いますが、この保険の内容も銀行ごとに内容が異なります。例えばauじぶん銀行のがん50%保障団信は、「がんと診断されたら」就業不能状態かどうかにかかわらず、ローン残債の50%が免除されます。この50%保障団信は金利の上乗せが必要なく、審査が通ればつけられます。

住信SBIネット銀行の団信は、金利の上乗せなしで、「精神障害をのぞく全疾病保障」がついてくるので、病気や怪我で働けなくなった場合の月々の返済額が保障され、働けないまま12ヶ月が過ぎると住宅ローンの残債が0円になります。細かい条件はあるので、詳しくはサイトや資料を確認していただければと思いますが、万が一の病気や怪我で働けない場合には安心感のある内容になっています。このように各社で団信の内容に色々と力を入れているので比較してみるとよいでしょう。

つなぎ融資が利用できるかどうかは家を建てる前に確認を

また、借入額の上限や、審査基準などは金融機関によって異なります。「A銀行では審査が通らなかったが、B銀行は満額回答してくれた」ということはよくあるので複数の金融機関をあたってみると良いと思います。また、注文住宅を建てる場合、何段階かに分かれて支払いが発生するので、つなぎ融資が必要になるケースがあります。住宅ローンは土地と完成した建物を担保に組まれます。つまり、家が建つまで借りられないので、

・土地の購入(新規で土地を買う場合)
・住宅を建て始める手付金(建築会社による)
・上棟のタイミングで建築費の半分を支払う(建築会社による)
・住宅完成時の支払い

など途中での支払いに対応できないことがあります。その場合は、つなぎ融資という家の完成時に住宅ローンが借りられたら全額返済することを条件にした、少し金利の高いローンを受けるのですが、このつなぎ融資を行っていない金融機関も多くあります。こちらも複数の金融機関で条件がことなるので比較してみるとよいでしょう。

固定金利は上昇の傾向

続いて、固定金利の状況です。2月に米国の長期金利の上昇をうけて、日本国債の長期金利も上昇しました。固定金利は長期国債の金利の影響を受けるといわれており、その影響で4月のフラット35の金利も1.35%から1.37%に上昇しています。米国の金利があがり、日本の金利が変わらないと、米国にお金を預けた方が得になるので円安ドル高になっていきます。この傾向が広がりすぎると、国としても調整を行うため金利を上げることがあります。もちろん金利の変更にはもっと複雑なお要因はありますが、単純にみるとこのようなメカニズムがあります。

新規で住宅ローンを借りる場合は、住宅購入価格をいくらにするのか、また住宅ローンはどこで組むべきかも重要ですが、それ以上に支払いが継続できるかや破綻しないかどうかを考えることが重要です。

変動金利と固定金利はどちらが有利?

変動金利が有利か、固定金利が有利かと聞かれますが、正解は時間経ってみないとわかりません。
変動か固定かを選ぶのは、本質的には借り手(利用者)が金利上昇のリスクを受けるか、貸し手(金融機関)が金利上昇のリスクを取るかということです。変動金利は基本的に短期プライムレートという銀行が、優良顧客企業に貸し付ける低金利の指標に連動するのですが、ここ20年ほど不景気が続いているので上がっていません。

そして、金利上昇しても、「金利上昇=経気上昇」と考え、金利が上がれば給料がそれ以上に上がると思えたり、金利上昇時に万が一ローンが返済できない場合は自宅を売却して返すことが可能という計算が立つようでしたら、変動金利を選べば良いと思います。この際、いざという時に売却しやすいような立地や建物であるかも考えましょう。一方、今後の毎月の返済額を固定して、金利上昇などの影響に振り回されないという選択も一理あります。

変動金利、固定金利を選ぶにしても、完済時の年齢をしっかりと意識し、それまで収入を継続できるのかをしっかり考えましょう。また、家計の把握をおこなった上で、今後のライフイベントや収入の変化を想定して、本当に返済が可能化を見極めることが重要と考えます。
ぜひ参考にしてみてください。

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