中国政府の香港人弾圧に抗議 横浜の写真家が作品展

周庭さんら香港民主活動家を紹介する写真展を開いている中村康伸さん=横浜市中区

 中国政府による香港人弾圧に抗議する写真展「香港の民主活動家たち」が横浜中華街の「AAAアネックス・ギャラリー」(横浜市中区山下町)で30日まで開かれている。

 横浜在住の写真家中村康伸さん(51)が2014年から現地で撮影した36人を紹介しており、「周庭さんら展示している人の半数近くが収監されている。獄中にいる活動家を応援してほしい」と呼び掛ける。

 中村さんは昨春までに11回現地入りし、普通選挙実施を求める「雨傘運動」などの民主化運動を取材。「デモ隊の発する熱量に圧倒された」と振り返る。

 19年には中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯引渡条例」が浮上。人権を軽視する不当逮捕や本土移送に強い恐怖を感じた市民が立ち上がり、最大で200万人もの人々が街に繰り出し抗議デモを行った。中村さんはデモ隊と警察が対峙する最前線で、催涙ガスと火炎瓶が飛び交う中をガスマスク越しにシャッターを切り続けた。

 しかし昨年以降は、報道はコロナ一色となり、香港人の頼みの綱の国際世論も盛り上がらない。一方、中国政府は弾圧を強化し、「民主の女神」周庭さんや、民主派の代表的新聞「蘋果日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)さんらを次々に逮捕している。

 中村さんは昨年3月、日本人の関心が途切れないように写真展を開いた。今回は第2弾で77点を展示している。36人の姿にそれぞれの経歴も添え、区議会議員の葉錦龍(サム・イップ)さんの場合は「1987年生まれ。自称オタクで日本語に堪能」と砕けた表現で記した。中村さんは「民主活動家一人一人に物語がある。普通の生身の人間が強大な権力と対峙し、闘っていることに思いをはせてほしい。自由というものは私が思ってたより、はるかに価値があるものだと痛感させられた」と語った。

 入場無料。正午~午後5時。月、火曜日休み。

© 株式会社神奈川新聞社