JAXA、13年ぶりに宇宙飛行士候補を新規募集 応募条件が大幅緩和へ

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月2日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」では、「Forbes JAPAN」Web編集長の谷本有香さんが“新時代の宇宙飛行士”について述べました。

◆JAXAが求める新時代の宇宙飛行士の人物像とは?

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、今年秋から13年ぶりに宇宙飛行士候補を新規募集します。今回は応募条件の大幅な緩和が検討され、これまで理系の大学の卒業者が条件でしたが、新たに文系の大学や短大、高専や専門学校卒業者も応募を可能にする案も出ています。

谷本さんは先日、JAXAが主催する新時代の宇宙飛行士に関するイベントに登壇。この日はそこで感じたことを共有してくれました。

まず世界の応募状況を見てみると、日本で前回募集が行われたのは2008年。人口比などあるものの、そのときの応募者数は他国に比べ少ないことがわかります。今回の緩和は、「もっと応募者数を広げ、宇宙に携わる方の裾野を広げていこうという気持ちもある」と解説します。

そして、JAXAがイメージする新時代の宇宙飛行士の人物像は、多国籍で多様性があり、協調性や適応力がある人。その上で「今までは宇宙開発で自分のスキルを発揮できるかが大事だったが、今後は宇宙で学んだこと、やってきたことをいかに社会に還元し、広めていくかが重要だとJAXAは考えている」と谷本さん。

なお、新たな応募条件は現在検討中ですが、大きく変わりそうなのが大卒に限定しなくなること。さらには、今まで宇宙飛行士になるとJAXAで10年以上勤務することが必須でしたが、それもなくなり「さまざまな職業に戻っていいということも検討されている。もしかすると、誰でも宇宙飛行士になれる時代になるかもしれない」と期待を寄せます。

ESA(欧州宇宙機関)では、すでに女性や障害者の募集が推奨されていて、「つまり、さまざまな方が宇宙に携わることで、より多くの課題や開発に繋がるものが見えてくる」と谷本さん。そうした世界の宇宙開発と繋がっていくためにも、日本でも門戸拡大の必要性をポイントとして挙げます。

◆地球人の誰もが宇宙に携わる時代がやってくる!?

今回のJAXAのイベントには宇宙飛行士の若田光一さんも参加され、「フレキシブルさ」の重要性、それも宇宙だけでなく、「新しい時代、社会においても多くの人たちに必要な要素」と訴えていたそうで、谷本さんも大いに賛同。

また、極地建築家の村上祐資さんは、宇宙飛行士に対し、宇宙に興味があるのは当然としながら、重要なのはそこではないと主張していたとか。というのも、興味があるだけでは宇宙に行ってしまうとそれが果たされてしまうから。そのため、さまざまな経験を積んできた人を採用することで、「そこで生まれ得る新しい価値があるのではないか」と考え、JAXAではより多くの人と議論すべくパブリックコメントを募集。一般の方からの意見を積極的に聞き、検討していくとしています。

ヘッドライン社長で早稲田大学研究院客員教授の一木広治さんは、「僕の歳では宇宙飛行士は無理だけど……これからは宇宙の時代」と強調。政府も「ムーンショット計画」なるものを行い、宇宙食やコオロギの研究をしていることを挙げます。

MCの堀潤も「いまや各国が宇宙開発で凌ぎを削っている。世界を知るだけでなく、月や火星、地球の周りの資源を知ろうという時代」と補足すると、谷本さんは「地球人全員が宇宙に何らかの形で携わる時代を前提として動いていかなくてはいけないと考えたとき、みなさん自分ごととしてこの問題を考えていくことが重要」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00(※番組終了)
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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