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国産ジーンズといえば「児島ジーンズストリート」でおなじみの倉敷市児島が有名ですが、ジーンズの生地「デニム」がどこで作られているか、知っていますか?
実は井原市やその隣、広島県福山市といった備後地域で、国産デニムの90%以上が生産されています。
井原市にあるおのはなこ商店は「井原デニムの魅力を、ものづくりを通して伝えたい」と、2020年4月にオープンした体験型のデニムショップです。
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デニム生地や雑貨などが購入できるほか、井原デニムを使ったオリジナルのものづくりが体験できます。
デニムの聖地・井原だからこそ手に入るデニム生地を使って、クラッチバッグを作ってきました。
体験型デニムショップ おのはなこ商店
桜のトンネルで有名な井原堤のすぐそばにある新町商店街に、2020年4月「井原デニムスクエアガーデン」がオープンしました。
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デニムをテーマにした複合施設で、中には3つのショップとホテルの別館が入っています。
- 体験型デニムショップ おのはなこ商店
- コーヒースタンド AIIRO COFFEE STAND
中庭には大きなジーンズがディスプレイされたステージが。デニムの歴史について学べるパネル展示もあります。
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井原デニムスクエアガーデンにあるおのはなこ商店も、2020年4月にオープンしました。
店内にはデニム生地・デニム雑貨を中心に、デニムマスキングテープやデニムの裁断くずから生まれた靴下などが並んでいます。
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店主の小野華子(おの はなこ)さんは、オリジナルブランド H.Faire(アッシュ・フェール)で井原デニムを使ったバッグ・帽子などの企画・デザイン・縫製を手掛け、井原デニムの魅力を発信中です。
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お店のこだわりは、なんといってもミシンが並んだ作業スペース。
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ここで井原デニムを使ったものづくり体験ができるのです。
国産ジーンズより歴史が深い「井原デニム」
井原では江戸時代中期から藍染織物を作っていました。
明治~大正時代には「備中小倉織(びっちゅうこくらおり)」の「裏白(うらじろ)」と呼ばれる、アメリカのデニムと同様の藍染織物が生産されていました。
つまり、終戦後に日本でジーンズが流行するよりも前に、デニム同様の生地を作っていたのです。
今でも井原はデニム生地の工場や、ジーンズの裁断・縫製・加工工場などが集まるデニムの一大産地です。
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「井原デニム」という言葉は、2019年3月に地域団体商標へ登録されました。
地域団体商標とは、地域名と商品名から成る「地域の名物」の名前を商標登録できる制度です。
国産ジーンズを草創期から支えてきた井原デニムですが、これまでメーカーとの契約の兼ね合いで、産地が世の中に出ることは少なかったのだとか。
地域団体商標への登録は、井原の歴史あるデニム産業が地域の魅力として見直されている証といえそうです。
代表的な井原デニム2つを、小野さんに教えてもらいました。
ひとつはセルビッチデニムです。
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デニムのなかでもビンテージジーンズなどに使われる、特別なデニム生地。
端に赤いステッチが入った見た目から、「赤耳」とも呼ばれます。
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セルビッチデニムはテンション(張り具合)がゆるく、手織りに近い風合いがあり、表面がごわっとしているのが特徴です。
使っていくうちに色落ちが表情として表れやすく、デニムファンからも人気があります。
もうひとつは、ジャガードデニムをはじめとした、柄が入ったデニム生地。
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タテ糸とヨコ糸の組み合わせを変えることで、織りによりさまざまな模様を生み出します。
小野さんは「進化系デニム」と呼んでいます。
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小野さんのトレードマーク、ベレー帽もジャガードデニムで作ったものです。
デニムクラッチバッグづくりを体験
おのはなこ商店で体験できる、ミシンを使ったデニム加工は3つです。
1.デニムトートバッグ 4,400円(税込)
A4縦サイズのトートバッグづくり。仕上げには、リベット打ちやアイレット(ハトメ)打ち体験も。
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2.デニムクラッチバッグ 4,730円(税込)
二つ折りのクラッチバッグづくり。好きなデザインの畳縁(たたみべり)を選んで装飾。
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3.BOXティシュケース 3,850円(税込)
仕上げには、ドットボタン打ち体験も。
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いずれも生地は、井原産のセルビッチデニムを使用します。
そのほか、ミシンを使わずにできる写真立てや缶ミラーづくりなど、おのはなこ商店では多彩なデニム加工体験ができるのです。
いざ、体験!
ミシンを使ったデニムクラッチバッグづくりを体験しました。
私、ライターのこばんは、ミシンを使うのは高校の家庭科の授業以来ということで不安でしたが、お手本のように素敵なクラッチバッグが作れるようがんばります!
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このような工程でクラッチバッグをつくりました。
- 材料(デニム生地・畳縁)を準備する
- ミシンでクラッチバッグを縫製する
材料(デニム生地・畳縁)を準備する
使用する生地は、井原産のセルビッチデニム。
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デニムのなかでも特別なデニムを使ってのものづくりです。
クラッチバッグの真ん中には、畳縁(たたみべり)を使用して装飾をほどこします。
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畳縁とは、畳の角の摩耗を防ぐために縁に付けられた厚手の布のこと。
一般的な畳には黒色や緑色のものが使われていることが多いですが、畳以外にハンドメイド雑貨の材料としても人気で、さまざまなデザインのものがあります。
倉敷市の髙田織物の畳縁、20種類以上のなかから好きなデザインのものを選びカット。
クラッチバッグの見た目を決める、大切な畳縁選びです。私はこのデザインに決めました。
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どんな仕上がりになるでしょう。
ミシンの練習
材料を選び、カットしたらいよいよミシン縫い!
緊張していると、「それでは練習していきましょう」と小野さん。
そう、練習タイムがあるので初心者でも安心です。
使うのは工業用ミシン。ミシンに向かう姿勢や足元のペダルの操作方法、手を置く場所などを教わります。
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小野さんから教わったあとは、サンプルの布を使って、まっすぐ縫う練習もできました。
足の踏み込みで縫う速度を調整します。
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小野さんは服飾の専門学校で教員をしていたこともある、教えるプロ。ばっちり技術を習得できました。
「上手ですね~!いけそうですよ!」と励ましてもらい、自信がついてきたところでいよいよ本番です。
ミシンでクラッチバッグを縫製する
まずはクラッチバッグの装飾部分の畳縁を縫っていきます。
畳縁でつくる形はリボン・フリルなどが可能です。
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私はリボンタイプに挑戦することにしました。
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糸のほつれを防ぐ「返し縫い」は、小野さんが手伝ってくれます。
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まっすぐに縫うことができました!
組み合わせて、リボンらしくタックをよせて、完成です。取り付けるときが楽しみ!
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次はデニム生地にマグネットボタンを取り付けるために、バッグの口の部分を3.5センチメートルで折り曲げて、アイロンを使って折り目をつけていきます。
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熱を与えると、ふわっとデニムの染料の香りが広がりました。
このアイロンがけも、製品が上手に完成するかどうかに関わる重要な工程です。
次に、マグネットボタンを取りつけていきます。片方は小野さんが取り付けてくれました。
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それを参考に、自分でもやってみます。
デニム生地がなかなか分厚くてすぐにはできませんでしたが、無事に取り付けられました。
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なんと、裏側はガムテープで補強。丈夫で長持ちさせるための、プロの技なのだとか。
次に、リボンをクラッチバッグに仮止めしたあと、かがり縫いをするオーバーロック用ミシンで縫い付けていきます。
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オーバーロック用ミシンは、小野さんが操作してくれました。
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かがり縫いが終わると、一気に製品のような見た目に!
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次に、デニム生地が合わさる部分に直線縫いを行ないました。
まっすぐ縫い続けるために、磁石を置いてずれないようにしています。
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「少々失敗しても、味と愛嬌!」と小野さんに励まされながら、端から端まで無事に縫えました。
次は、クラッチバッグの底のマチの部分を縫い、奥行を出していきます。
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最後にバッグの縁をくるりと縫い上げたら、完成です。
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それまで小野さんに手伝ってもらっていましたが、最後の返し縫いは自力で行いました!
完成
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井原産セルビッチデニムの風合いと、畳縁の和のニュアンスが絶妙にマッチ。
世界にひとつだけのクラッチバッグが完成しました。
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ミシン初心者が作ったとは思えない、素敵な仕上がりではないでしょうか!
ミシン縫いだけでなく、クラッチバッグづくりでは畳縁でオリジナルの飾りが施せるのが楽しかったです。配色は特にこだわりです。
また、井原産セルビッチデニムのごわっとした質感は、いろいろな服装と合わせられそう。
使うたびに今回の体験を思い起こせると思うとわくわくします。
おわりに
「井原デニム」は聞いたことがありましたが、具体的にどんなものかは知らなかったので、国産ジーンズよりも長い歴史があること、柄の入ったデニム生地が井原でのみ作られていることを知り驚きました。
ミシンを使ったデニム加工体験を通し、目で見て手で触れることで、井原デニムの魅力を肌で感じることができます。
また、小野さんが細やかにサポートしてくれたので、楽しみながら体験できました。
「最後、返し縫いまで自力でできたのがうれしかったです」と伝えると、「慣れてきたら、やってみます?と、全行程体験してもらうんですよ。そのほうが、完成したとき、愛着をもってもらえると思うので」と笑顔。
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「井原のお店で井原デニムを使って、自分で作ったんだよ」と自慢できるクラッチバッグに仕上がりました。
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井原デニムのお話を聞きながら、世界でひとつだけのオリジナルバッグづくり。ぜひ体験してみませんか。