新潟県燕市の鈴木力市長が定例会見で、市内夏祭りの中止やPCR検査費用助成の対象者拡大などを発表

新潟県燕市の鈴木力市長

新潟県燕市の鈴木力市長は28日に定例会見を開き、市民向けPCR検査費用の助成対象の拡充や、7月に予定されていた市内の各夏祭りの中止などについて発表した。

主な発表項目は、以下の通り。

目次

◎新型コロナウイルス対策の政策を拡充
◎夏祭りの中止と医療従事者応援花火の打ち上げについて
◎市内農家のEC進出を助成
◎今年の田んぼアートはイタリア自動車メーカーとコラボ
◎2020年度のふるさと納税額は49億円に

新型コロナウイルス対策の政策を拡充

燕市ではこれまで、冠婚葬祭や里帰り出産などの理由で感染拡大地域との往来が必要となる市民を対象にPCR検査費用の助成を実施してきたが、3月以降県内外で感染が再拡大している現状を受けて助成の対象と期間を大幅に拡大した。

具体的には、対象者を県外との往来がある人へ限定せず、新潟市などの県内感染拡大地域で感染の疑いがある事例に接した人や、市外の勤務先で感染患者が発生し濃厚接触者に認定された市民の家族など(県の行政検査では、例えば職場での感染事例では感染患者の同僚は濃厚接触者になっても、その同僚の家族は濃厚接触者にならない)へ柔軟に対応できるようにした。また、対象期間も2021年12月31日までに延長した。そのほかの補助率などの項目に変更はなく、補助率は1検体あたり4分の3以内、上限1万円まで。

また、5月から高齢者へのワクチン接種が開始される一方で、自動車運転免許の返納などによって接種会場への移動が困難な可能性のある65歳以上の市民、市内約2万5,000人へ対して、タクシー乗車に利用可能なクーポン券の郵送を5月中旬から開始する。1回の乗車へ対して1枚(1,000円分)として利用可能で、2回のワクチン接種の往復分として計4枚の配布となる。

コロナ禍で利用者が減少している市内9のタクシー事業者への支援の意味合いもあり、鈴木市長は「ワクチン接種の際に使わなくても、ぜひ他の機会に利用してほしい」と呼びかけた。

物資支援に同封される鈴木市長のメッセージ

一方、進学などの理由で県外へ出た学生を対象とした応援物資の受付も開始。この試みは、2020年4月から始まり今回で3回目となる。今回は燕市産コシヒカリ「つば九郎米」5キログラムと特産品の「もとまちきゅうり」に加え、給食スプーンといった金属加工の町らしい独特な物品も送る予定だ。

なお、4月に実施された第1回目の発送数は547件で、9月の第2回目は510件。卒業と入学に伴い対象者は変化する可能性があるものの、人数はこれまでと同様500人程度となる見込みで、28日から数回に分けて発送し、夏休みシーズンまでには全員への配布を完了させる予定だ。

夏祭りの中止と医療従事者応援花火の打ち上げについて

燕市夏まつり連絡協議会は27日、新型コロナウイルスの収束が見通せないことから、7月に市内で開催する予定だった「飛燕夏まつり」「吉田まつり」「分水まつり」「燕大花火大会」を中止することを決定した。中止は、2020年に続き2年連続となった。

花火大会は中止となったものの、新型コロナの鎮静祈願と医療従事者への応援を込め花火の打ち上げは実施される。感染防止の意味合いから観覧場所は設けず、動画のライブ配信となる予定だ。

市内農家のEC進出を助成

燕市では6月1日から、農業者による販路開拓を目的としたwebサイトの解説や通販サイトの出店に必要な経費の一部を補助する「ECサイト販路開拓応援補助金」の受付を開始する。補助率は、サイトの開設と出店に当たっては経費の半分(上限50万円)。サイトの改修の場合は3分の1(上限20万円)となる。鈴木市長は「これからは農業も買い手へ直接販売する時代になっていくと考えられるため、ぜひ農業者の方々にはこの機会に挑戦していただきたい」と話す。

また受付の開始に先立ち、5月28日に燕市役所「つばめホール」にて農産物のEC開拓に関するセミナーが開かれる。講師には、通販サイト「新潟直送計画」を運営する株式会社クーネルワークのセールスプランナー、鈴木沙耶氏が出席する予定。定員は50人で、オンライン視聴も可能。申し込みは、市農政課窓口かオンラインフォームにて。

今年の田んぼアートはイタリア自動車メーカーとコラボ

2021年度の田んぼアートは、燕市のカトラリーをモチーフとした図案の予定

燕市では2007年度から「田んぼアート」の製作を行っており、今年度は2年ぶりとなる「田んぼアート」の田植えイベントも5月15日9時30分から実施される。場所は燕市吉田ふれあい広場西側の水田で、申し込みは吉田産業会館内の西蒲原土地改良区南地区事務所に5月7日まで。今年の「田んぼアート」は、燕市のカトラリーがモチーフとなるようだ。

また今年は例年の「田んぼアート」に加えて、イタリアの自動車メーカーFIATとコラボレーションした図案も製作する。場所は燕市役所南側の水田を予定しているという。

FIATは「FIAT × MADE IN JAPAN PROJECT」として日本のものづくりへの支援やコラボレーションを行っており、燕市内では山崎金属工業株式会社がこれまでにFIATのロゴ入りのカトラリーを製作するなどしている。今回の取り組みもその一環であり、日本とイタリアを象徴する図案を田んぼへ描くことで、産業と農業の魅力を国内外へ発信していくことが狙いだ。

FIATとコラボした田んぼアート(図案については変更になる可能性もあります)

田んぼアート予定地周辺(燕市役所4階から撮影)

2020年度のふるさと納税額は49億円に

鈴木市長は会見にて質問を受け、県内トップとなったふるさと納税額へ対する所感や今後の目標などを語った。

燕市の2020年度ふるさと納税額は、2019年度の約42億円から7億円増加し49億円となったが、鈴木市長はその要因について「米などの食品に留まらない金属加工品という独特な返礼品が人気を箔しているほか、4月に実施した学生支援が全国的に取り上げられたことの影響もある」と分析する。燕市では「応援人口の増加」を目標として掲げており、市外へも訴求する魅力づくりやプロモーションを今後も続けていくという。また、ふるさと納税を取り扱う申し込みサイトの連携先の拡充や、デザインコンテストで入賞した商品を加えるなどの継続的なラインナップの刷新についても2021年の課題となっていくと鈴木市長はコメントした。

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