事故で背中とクルマを痛めながら接戦制したオジエに、罰金と執行猶予付き出場停止処分/WRC

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 TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエは、WRC世界ラリー選手権第3戦クロアチアの日曜朝に起きた交通事故によって、彼のトヨタ・ヤリスWRCが損傷し、自身も背中を痛めたことから同イベントでの優勝は不可能だと考えていた。

 それにもかかわらず、WRC7冠王者であるオジエはチームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)、ヒュンダイのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)との三つ巴の接戦を最終ステージでの再逆転というかたちで制し、WRC史上3番目に小さいギャップとなる0.6秒差で優勝を果たしている。

「それはクレイジーで地獄のような走行だった」とオジエはフィニッシュ後wrc.comに語った。

「事故の衝撃を受けた瞬間、僕のラリーは終わったと思った。正直なところ、まだ背中はが痛いんだ。だが、幸いにもクルマはそれほどひどく壊れていなかった」

 日曜の朝、サービスパークから早朝のオープニングステージ(SS17)に向かっていたオジエのヤリスWRCは、車線変更時に右後ろから来た後続車に追突されるかたちで接触。ジュリアン・イングラシアが座るコドライバーシート側のドア周りにダメージを負った。

 その後、走行が可能であったことから競技に戻ったオジエは「午前中は最適な状態ではなかったが、それでも午後の最終ステージで勝利を収めることができた。最後はもう信じられない状況だったが、確実に楽しむことができた」と述べた。

「クルマはまっすぐ走っていたため、主なダメージは空力面だったと考えている。それよりも、おそらく僕にとっては心理的なダメージが大きかったと思う。でも、何よりも重要なのは、あの事故で怪我をした人がいなかったことだ。事故が起きたとき、僕はそれを一番に心配していた」

 なお、クロアチア・ラリーを制しチャンピオンリーダーに復帰したオジエは、事故後に現場を立ち去ったことによる処分として5000ユーロ(約65万円)の罰金が科されると同時に、6カ月の執行猶予が付いた1大会への出場停止処分が下った。所属するTOYOTA GAZOO Racing WRTにも訓戒処分が下された。

 また、彼には事故直後に赤信号を無視したことへのペナルティも科せられ、こちらは2000ユーロ(約26万円)の罰金となっている。

WRC第3戦で優勝したセバスチャン・オジエ(右)とジュリアン・イングラシア(左)

 オジエは今回の交通事故がそれ以上の被害を引き起こさなかったのは幸運だったと考えている。

「幸いなことに衝撃は(進行方向に対して並行に近い)真っ直ぐで、その場所がおそらくクルマのもっとも強い部分のひとつだったのではないか」と彼は語った。

「それはヤリスWRCの外装を傷つけたが、その前後のホイールは真っ直ぐのまま。ロールケージは無傷、さらにドアも衝撃を吸収するフォームプロテクターで保護されていて安全性は確保されていたんだ」

 ドラマとともに名勝負が生まれたWRC初開催のクロアチア・ラリーを戦い終え、ふたたび選手権リーダーとなったオジエは、ランキング2位に浮上したヌービルを8ポイントリードして次戦ポルトガル(5月20~23日)に挑む。

マシン右サイドのドアに損傷を負ったトヨタ・ヤリスWRC