トヨタ、新型ハイパーカーでWEC公式テストを完了「木曜からの走行でさらに改良を進めたい」

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 2021年シーズンから採用されるル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に基づく新たな最高峰カテゴリー、ハイパークラスに『トヨタGR010ハイブリッド』2台を送り込むTOYOTA GAZOO Racingは4月26~27日、スパ・フランコルシャンで行われたWECプロローグに参加し、開幕戦前の最終テストを完了させた。

 ディフェンディングチャンピオンとして今季もWEC世界耐久選手権に参戦するトヨタは、2021年シーズンからLMP1に代わる新クラスでの初代チャンピオンを掴むため、新型マシンを開発。前年王者マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組が7号車、ル・マン4連覇を狙う8号車にはセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドレン・ハートレーというお馴染みのトリオが乗り込む。

 そんなチームは5月1日にスパ・フランコルシャンで行われる開幕戦を前に実施されたシリーズの公式テスト“プロローグ”に参加。同じクラスのライバルであるアルピーヌや他クラスのマシンとともに2日間にわたったテストで走行を重ね、使用するタイヤの評価やセットアップ比較を実施した。
 
 なお、テスト初日は7号車に油圧及び電気系トラブルが発生し、7号車のクルーはセッションの多くの時間をピットガレージで過ごすことになった。しかし、翌日は3名のドライバー全員が走行し、GT車両との接触で修復に若干の時間を取られたものの、セットアップの確認やタイヤ評価を順調にこなしている。

「スパに戻って来て、ようやくシーズンのスタートを切ることができて素晴らしい気分です。我々7号車にとってはタフな2日間でしたが、大変な作業でコースへと戻してくれたメカニックとエンジニアに感謝しています」と語るのは、昨シーズンの王者である可夢偉。

「月曜日、車両がガレージにいるのを見るのはもどかしかったですが、彼らは決して諦めずに修理してくれて、おかげで最終的には決勝レースに役立つ有用なデータを得ることができました」

 チームメイトのコンウェイも「当初ガレージで待機という厳しいスタートとなりましたが、メカニックの素晴らしい動きでコースに戻ることができ、幾つかトラブルもあったものの、2日目は多くの走行をこなすことができた」とコメント。

「2日目が順調だったおかげで多くのデータを得られたので、それを活かして木曜日からの走行でさらに改良を進めたいと思う」と続けた。

 ロペスは「昨年の最後のレースからずいぶん長い時間が経った。他の車両と一緒に走ることのできたこのテストは有意義だったよ。1台で走っていれば、つねに同じラインで同じ場所でブレーキングすることになる。だが、他の車両と走るとそれは不可能で(走りは)まったく別物になるし、シーズンに向けてとても良いトレーニングになった」と述べた。

プロローグ初日はトラブルのため長い時間をガレージで過ごした7号車トヨタGR010ハイブリッド
7号車トヨタGR010ハイブリッド 2021WECプロローグ

■テストのベストタイムはLMP2カーに譲る結果に

 トヨタGR010ハイブリッドは最終日の午後に8号車が2分04秒669というセッションベストタイムをマークしたものの、このテストでの最速タイム2分04秒168を記録したのは、オフの間にパフォーマンスが抑制されたLMP2クラスのマシンだった。8号車のタイムは2日間の総合結果で4番手。僚友7号車も2分04秒708で総合5番手に留まっており、ハイパーカーの性能域が昨年までのLMP1カーとは異なることを物語っている。

 8号車をドライブする一貴は「他の多くの車両と一緒にコースを走るチャンスという意味でも、プロローグは我々のオフシーズンテストにおいて、とても重要な役割を果たしている」と、公式テストの有効性を説明した。

「決勝レースへの準備の段階で、他の車両と一緒にテストする方が良いのは明らかです。単独走行では遅い車両への対応や、タイヤのパフォーマンスを適切に保つことを学ぶのが難しいですから」

「この2日間のテストでも、多くの接触やアクシデントが発生したように、多くのカテゴリーの混走は容易ではありませんが、レースのためにはこのような練習が必要です」

 ABBフォーミュラE世界選手権のレースを終えてスペインからプロローグ・テストに駆けつけたブエミは「2日間をとおして改良のためにさまざまな取り組みを試し、多くのデータを得ることができた。天候がどうなるかわからないが、週末のレースでさらに力強いパフォーマンスを見せられるよう、クルマの改良に全力を尽くす」と語った。

 ハートレーは「ようやくWECのパドックに活気が戻り、コース上にすべての車両が並んでいるのを見られて最高だ」とコメント。

「この2日間のテストは好天に恵まれた。“スパ・ウェザー”と呼ばれるように、この場所の天気が変わりやすいのはよく知っているけど、週末までこのまま天候が保ってくれることを祈っているよ」

「今回がGR010ハイブリッドにとって初めて他のカテゴリーとの混走だったので、そのなかで順調に走れて良かった。ハイパーカー時代としての新たなシーズン開幕が楽しみだ!」

 WECプロローグを終えたトヨタチームはこのままスパに残り、シーズン開幕戦の走行セッションへ向けた準備を進めていく。その開幕戦スパ6時間レースは29日(木)に練習走行が開始が行われ、翌30日(金)は練習走行と予選が実施される。決勝が行われるのは5月1日(土)で、13時30分(日本時間20時30分)にスタートが切られる予定だ。

ハイパーカークラスに参戦するトヨタGR010ハイブリッド
8号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブする中嶋一貴
8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドレン・ハートレー組)