カーネーションに「母の日」の感謝込め 神奈川・秦野で出荷ピーク

カーネーションの出荷量県内トップの秦野市では作業がピークを迎えている=秦野市羽根の今井園芸

 5月9日の「母の日」を前に、神奈川県秦野市の栽培農家が出荷作業に追われている。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大による需要減で苦しんだが、今年は回復傾向を示しており、生産者は「母親への感謝の思いを託すとともに、心の癒やしにもしてほしい」と、丹精込めたカーネーションを送り出す。

 JAはだのによると、市内のカーネーションの出荷量は約150万本、作付面積は約7800平方メートルで、ともに県内トップ。栽培農家は9軒ある。

 この道50年以上の同市羽根の今井農園では、赤やピンク、白、黄色など15色、約10万本を温室で栽培している。昨年はコロナ禍で、小売店に卸す契約が中断されたほか、花が欠かせないイベントの中止などで出荷が伸び悩んだ。

 それだけに園主の今井勲さん(77)が今年に懸ける思いは強い。「暖冬でハウスの室温が安定し、生育は順調」と品質に太鼓判を押し、「早朝から出荷作業に追われて忙しい」と充実感を漂わせる。

 今年も感染が収束せずにやきもきしたが、大手スーパーをはじめ県内や首都圏の店舗への出荷が再開し、胸をなで下ろした。地元の直売所での売れ行きも好調という。

 今井さんは「コロナ禍で家族と会えない人も多い。つながりを確認するきっかけにカーネーションを」と推奨している。

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