江戸期の川崎大師描いた版木発見 2代目歌川広重作、5月公開

二代目歌川広重の「江戸名所図会 平間寺」の版木を手にする斎藤さん。3枚組で、中央部に平間寺を描いた版木がある=川崎市役所

 浮世絵師二代目歌川広重(1826~69年)が、江戸時代の川崎大師平間寺を描いた「江戸名所図会 平間寺」の版木が見つかった。江戸名所図会を構成する「梅屋敷」「千駄ケ谷」の版木2枚とともに良好な保存状態で発見され、非常に珍しいという。川崎市内で28日に発表した浮世絵コレクターの斎藤文夫元参院議員(92)は、「江戸期の資料が発掘できたことは浮世絵界全体の喜び」と語った。

 二代目広重は、江戸末期から明治時代に活躍した浮世絵師。風景画や美人画で知られ、代表作に「諸国名所百景」などがある。晩年は横浜に住み、開港期の横浜を主題にした錦絵「横浜絵」を描いた。

 「平間寺」は江戸末期1863年に発行された作品。見つかった版木は墨刷り用で、縦41.5センチ、横79センチ。「江戸名所図会」の3枚をつなげた状態だった。平間寺は3枚のうち中心部の図絵で、大きなソテツとみられる木と、参拝する人々が描かれている。

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