不登校でも“出席” 大村市こどもセンターで「コンネ」本格始動

新しい支援策に注目 受け皿拡大など課題も

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大村市教委が本格運用をスタートしたコンネ。勉強やゲームなど子どもたちは思い思いの時間を過ごす=市子どもセンター

 「おはよう。今日はいつまでいるの?」
 「1時半。お昼も買ってきたよ」
 桜の季節も過ぎてしまった12日。大村市こどもセンター(本町)の一室に小学4年の女の子がやって来た。スタッフと軽いあいさつを済ませると、部屋の真ん中の席に座り、漢字の書き取りを始めた。
 約30分後。今度は、小学6年の男の子が、祖父に連れられて入ってきた。窓際の席に陣取り、黙々と電車の絵を描き始めた。その様子を記者が見ていると「電車のデザインは自分で考えてるんだ」。男児は得意げに絵を見せてくれた。
 それぞれ事情があって不登校の2人。今はここが「居場所」だ。

 大村市が本年度、本格的に運用を始めた「小・中学生サポートルーム『conne(コンネ)』」。学校に行けず、引きこもっている子どもたちに居場所を提供している。学校への復帰だけを目的とせず、活動内容は自由。利用した日は学校で「出席」扱いになるのも特徴だ。こうしたコンセプトで行政が不登校児童・生徒の支援に取り組む施設は県内初。新しい形の支援策として注目される。

 ◎子どもたちの「意思」大切に支援 外部施設と連携 受け皿拡大模索

 大村市教委が「コンネ」を開設した背景には、不登校の児童・生徒数の増加がある。
 県教委によると、県内の公立小中学校で不登校に該当する児童・生徒数は2019年度が1790人。18年度に比べ234人増えた。市教委によると、市内では昨年度は174人。新型コロナウイルスに伴う休校の影響などで前年度より数字上は減ったものの「右肩上がりの状況は変わっていない」。
 不登校の子どもたちについて、市教委はこれまで、「学校適応指導教室」(市内1カ所)での集団行動や自主的な学習を通じ、学校への復帰を支援してきた。ただ、昨年度の同教室の利用者は21人。あくまで学校への復帰を前提としているため、利用に対する心理的ハードルが高かったとみられる。
 「ハードルを低くした」(市教委)形で昨年9月にコンネを開設。今年3月までを試行期間と位置付け、運営方法や人員体制などを検討。4月の本格運用開始にこぎ着けた。

■自 由
 コンネでの過ごし方や利用時間に決まりはない。原則自由だ。読書、ゲーム、短時間の自習、ネイリストに憧れ動画を視聴…とさまざま。子どもたちの希望や将来の夢などを踏まえ利用者とスタッフが話し合って決める。利用は無料。スタッフの谷口睦子さん(65)は「子どもたちに『ここにいてもいいんだ』と感じてもらうことを第一に考えている」と話す。
 市教委によると、試行期間中の利用者は小学1年から中学3年まで計38人。「誰も来ない日はなかったくらい」と谷口さん。反響は想定以上だった。
 試行期間中は週2回開けていたが、本格運用を開始した4月からは平日は毎日開所。スタッフも2人に増やし、より柔軟な対応ができるようになった。年齢が異なる子ども同士でカードゲームをするなど交流も生まれており、谷口さんは「お互いが良い刺激を与え合うようになれば」と期待する。

■課 題
 利用する子どもたちに、どんなステップを用意するかが今後の課題だ。
 外部との接点をより広げるため、本年度、ミライon図書館など施設外での活動を計画している。試行期間中の利用者は中学2年が3分の1を占め、年齢層の偏りも「検証する必要がある」と市教委。
 文科省は19年度、民間のフリースクールなどを利用した場合でも条件が整えば出席扱いを認めるよう全国の自治体に通達。大村市教委は、公営の「コンネ」に加え、市内のフリースクールなどとも連携し、子どもたちの受け皿の拡大を模索している。
 市教委の担当者は「学校へ戻ることだけが目的でないとのコンネのコンセプトは崩さず運営したい。その上で、子どもたちの『やってみたい』というシグナルをしっかり受け止め、支援していく」と話す。
 問い合わせはコンネ(電0957.53.0876)。

大村市の不登校児童・生徒数の推移