[新型ヴェゼルとヤリスクロス荷室比較]荷室は割り切った!? コンパクトながらも多数の工夫でヴェゼル・ヤリスクロスとも使い勝手は良好

SUVのライバル車「ホンダ 新型ヴェゼル」と「トヨタ ヤリスクロス」は、全長4.2メートルから4.3メートル前後のコンパクトなボディが特徴だが、室内空間は十分な広さを確保している。では、荷室はどうだろう。アウトドアレジャーなどにも活躍出来る使いやすさや容量は確保できているだろうか。今回は人気コンパクトSUVのライバル2台を荷室の使い勝手の面で比較してみると……これが2台とも思った以上の工夫が凝らされていたのだ!

ホンダ 新型ヴェゼル[2021年4月22日発売]/トヨタ 新型ヤリスクロス[2020年8月31日発売] 徹底比較

コンパクトに見える新型ヴェゼルとヤリスクロスだが、荷室空間は意外と広かった!?

ホンダ 新型ヴェゼル

TOP画像にホンダ 新型ヴェゼルとトヨタ 新型ヤリスクロスの2台のサイドビューを並べてみた。

ざっくりに言って後輪の軸から後ろが荷室空間だとイメージすると、2台とも決して広くはなさそうなイメージだ。

特に新型ヴェゼルの外観デザインはクーペ風の流麗なフォルムに変身し、リアゲートは先代に比べ寝かせられている。さて、実際の荷室はどうなのだろうか。これがそれぞれ工夫が加えられ、見た目以上に実用的な空間だったのだ。

2台の写真とともに、ホンダ 新型ヴェゼルとトヨタ 新型ヤリスクロスの荷室について比べてみよう。

数値よりも実用性! 新型ヴェゼルの荷室はゴルフバッグから自転車まで、リアルに積める使い勝手を重視

ホンダの新型ヴェゼル広報資料には「荷室空間最適化」と書かれているのみで、従来モデルからの容量拡大に関する記述は特になく容量も非公開。計測値上は先代ヴェゼル(393リットル)よりも減っているが、実際の使い勝手は劣っていないとホンダでは説明する

ホンダ 新型ヴェゼルは、先代ヴェゼルとボディサイズを変えずに後席の足元空間を35mm拡大するなど、パッケージング全体の見直しが図られた。

荷室空間自体は拡げられていないが、ユーザーが載せるであろうさまざまな荷物を想定し検証。段差をなくし積み下ろしのしやすい実用的な荷室に仕上げた。

コンパクトなボディサイズながら、身長約190cmの人が寝る事すら出来る驚異の荷室長を確保した新型ヴェゼル, 後席背もたれはただ前に倒れるのではなく、下に潜り込むように収まるのがホンダの美点。さらにチップアップ機能まで備わり、使い勝手は抜群だ
コンパクトなボディサイズながら、身長約190cmの人が寝る事すら出来る驚異の荷室長を確保した新型ヴェゼル, 後席背もたれはただ前に倒れるのではなく、下に潜り込むように収まるのがホンダの美点。さらにチップアップ機能まで備わり、使い勝手は抜群だ

ホンダ 新型ヴェゼル最大の見どころは、先代から受け継がれた後席チップダウン&ダイブダウン機構による、使い勝手バツグンなアレンジ性能が挙げられる。

これは初代フィット以来、ホンダのコンパクトカー・軽に採用される独自のセンタータンクレイアウトのおかげ。通常は後席後ろの床下に置かれる燃料タンクを前席床下へ移動したことで後席足元や荷室を拡大することが出来た。

また多機能なだけでなく、操作が簡単なのも嬉しいところ。日常的に使えてこその機能だけに、手軽さは重要なポイントだ。写真の通り、様々な荷物を自在に積むことが出来る。

ゴルフバッグが積めるかどうかは重要な要件! 新型ヴェゼルは後席を倒すことなく2個のバッグを積んでいる, そしていざ後席をダイブダウンさせれば、低く広大な荷室空間の出来上がり! かさばるキャンプ道具も収納可能だ
ゴルフバッグが積めるかどうかは重要な要件! 新型ヴェゼルは後席を倒すことなく2個のバッグを積んでいる, そしていざ後席をダイブダウンさせれば、低く広大な荷室空間の出来上がり! かさばるキャンプ道具も収納可能だ

またテールゲートは、スマートキーを携帯していれば足をかざすだけで開閉が出来る「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」を設定。新型ヴェゼルでは予約クローズ機能も新たに追加し、クルマから離れると自動でテールゲートを閉めることが可能となった。

写真では判別しづらいが、助手席を寝かせ後席をダイブダウンさせたうえで、長いサーブボードを載せた状態, 前輪さえ外せば、コンパクトな新型ヴェゼルでも写真の通り自転車を2台積むことも出来るようだ
写真では判別しづらいが、助手席を寝かせ後席をダイブダウンさせたうえで、長いサーブボードを載せた状態, 前輪さえ外せば、コンパクトな新型ヴェゼルでも写真の通り自転車を2台積むことも出来るようだ
ホンダ 新型ヴェゼルの広報資料より

ヤリスクロスの使い勝手を格段に上げる便利アイテム! 変幻自在な「デッキボード」に注目!

コンパクトながら四角い形状のヤリスクロスの荷室空間。容量は390リットルを確保する

新型ヤリスクロスの全長×全幅×全高は4180mm×1765mm×1590mm、ホイールベース(前後車軸間の長さ)は2560mmだ。新型ヴェゼルのサイズは4330mm×1790mm×1590mm、ホイールベースは2610mmに対し、ひと回り小さなボディサイズとなり、荷室の空間についても不利な条件となる。

ただし、旧型ヴェゼル同等の390リットルの荷室容量を確保するなど、荷室空間は十分に取られている。

ヤリスクロスのサイズで、後席を倒すことなく110Lの大型トランクが2個も収納可能なのは立派だ, 荷室床面の「アジャスタブルデッキボード」は6:4分割タイプで、写真の通り上下2段の可変式となる
ヤリスクロスのサイズで、後席を倒すことなく110Lの大型トランクが2個も収納可能なのは立派だ, 荷室床面の「アジャスタブルデッキボード」は6:4分割タイプで、写真の通り上下2段の可変式となる

ヤリスクロスの荷室空間で最大の見どころは、6:4分割タイプのアジャスタブルデッキボードだろう。デッキボードは左右それぞれ上下2段にアレンジ可能。上段にすると後席を倒した際にフルフラットな荷室空間を生み出せる。

いっぽう下段にすると、後席を使ったまま大きな荷物を縦に積んだりすることも出来るようになる。全長が短いだけに、天地方向で出来るだけ空間を稼ぐ工夫がなされている訳だ。

後席シートは4:2:4の分割可倒式なので、スキー板のような長いものだけこのように載せることが可能。写真は演出上のもので、実際に載せる際にはカバーをしたほうがいい!, こちらにもゴルフバッグの積載シーンが。いかに重要な要件かがわかる。ヤリスクロスの場合、後席を倒さずとも2個の大型バッグが積めれば十分合格だろう
後席シートは4:2:4の分割可倒式なので、スキー板のような長いものだけこのように載せることが可能。写真は演出上のもので、実際に載せる際にはカバーをしたほうがいい!, こちらにもゴルフバッグの積載シーンが。いかに重要な要件かがわかる。ヤリスクロスの場合、後席を倒さずとも2個の大型バッグが積めれば十分合格だろう

こちらも新型ヴェゼル同様に、スマートキーを携帯したままリアバンパー下に足を出し入れするだけで、バックドアの自動開閉が可能なハンズフリーパワーバックドアを設定する。ただし新型ヴェゼルのような予約クローズ機能は備わっていない。

新型ヴェゼルがサーフィンボードなら、ヤリスクロスは短いボディボードで積載性を説明,偶然にも!? ヤリスクロスでも自転車を積載するカットが。新型ヴェゼル同様に前輪を外せば2台積みもイケそう
新型ヴェゼルがサーフィンボードなら、ヤリスクロスは短いボディボードで積載性を説明,偶然にも!? ヤリスクロスでも自転車を積載するカットが。新型ヴェゼル同様に前輪を外せば2台積みもイケそう

新型ヴェゼルとヤリスクロスをディーラーでチェックする際には荷室の確認もお忘れなく!

コンパクトな外観からはなかなかわからない、新型ヴェゼルとヤリスクロスの荷室やシートアレンジについてご紹介してきた。ライバルのコンパクトSUVは、2台ともユーザーの使い勝手向上のために様々なアイデアを用いて工夫を凝らしていたことがわかる。

週末に新型ヴェゼルとヤリスクロスの実車をホンダとトヨタの各新車販売ディーラーでチェックする際には、荷室アレンジの数々と使い勝手についてもしっかりと試してほしい。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル]

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