長崎県教育長に就任 平田修三さん(59) 学校と地域の関わり強化

平田修三さん

 〈長崎県統轄監から4月1日付で県教育長に着任した。新学習指導要領が本年度から中学、来年度から高校で導入され、新型コロナウイルスへの対応も急務。教育現場は今、大きな変化を求められている〉

 -抱負を。
 学びの機会の確保と教育の質の保証が第一。現場の意見をしっかり聞き、課題や目指すイメージを共有していく。組織としては慎重になりすぎずチャレンジしていきたい。やると決めたら徹底的に取り組む。やったふりは認めず、職員には成果を求めていく。

 -新型コロナの影響は。
 学校が「安全で安心な場所」でなければいけないと現場も社会も再認識した。日々変化する状況に柔軟な対応が求められ、デジタル化も加速した。1人1台の端末配備は小中学校はほぼ行き渡り、高校も夏までには整う予定だ。

 -教員の多忙さは社会問題にもなっている。
 従来の慣習を変えないまま改善しようとしても、仕事が増えるだけで限界がある。今求められるのは「連続的」ではなく「不連続」な革新。デジタル化もその一つ。コンピューターにできることは任せ、先生にしかできないことに注力すべきだ。単純に仕事量や時間を減らすという話ではなく、先生が子どもと向き合う時間を確保するためのものでもある。教え方や先生の役割など一体として見直していかなければならない。

 -力を入れたい部分は。
 学校と地域の関わりを強化していきたい。「何もない」ではなく、その地域にどんな企業があり、どんな人がいるのか、強みを教える場が必要。子どもたちに古里への誇りを持ってほしい。進学や就職で県外に出るとしても古里を知っていることは将来必ず役に立つ。進学校でも積極的に取り組んでほしい。各学校には地域の強みを生かした「分かりやすい旗を立ててほしい」とお願いしていきたい。

 -本県の教員採用試験の倍率が低下している。
 少人数学級になり、この先も全国で取り合いになるだろう。大学との連携強化や採用方法の見直しも考えていく。高い倍率が教育の質の担保につながるかは分からないが、大事なのはやはり先生の働き方改革。今の先生たちがやりがいや幸福感を持てなければ、なり手は増えない。部活動に関しては1人の先生が抱え込む状況をなくすため、学校と地域の役割分担を時間を掛けて話していく必要がある。

 【略歴】ひらた・しゅうぞう 佐世保市出身。京都大法学部卒。1985年入庁。産業労働部長、総務部長、統轄監を経て現職。心に留めている言葉は「不易流行」。教育において「変えてはいけない部分、変えるべき部分を見極めていく」。


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