貧打深刻の与田竜 “阿部を二軍に落とすべき”の声は正しいのか?

ベンチから声援を送る阿部、(左)は福留

中日の深刻な貧打が思わぬ波紋を呼んでいる。特に注目の的となっているのが正二塁手・阿部寿樹内野手(31)だ。今季最多の4併殺が響いて2―6で敗れた29日の阪神戦(バンテリン)では2回無死一塁で併殺打に倒れるなど2打数無安打に終わり、7回無死一、二塁の好機に代打・福留を送られて途中交代した。

プロ4年目の2019年に初めて規定打席をクリアして打率2割9分1厘をマーク。昨年は打率2割5分7厘、リーグワーストの21併殺打と振るわなかったが、自己最多の13本塁打を放った。しかし、今季は深刻な打撃不振に陥り、途中交代を命じた与田監督も「彼の浮上にすごく期待している。前回カードの神宮でも(今季1号を放って)ちょっとずつ上がってきて、どうかなというところで、また結果が出せない状況。しっかりと我慢しなければいけないところは我慢するし、今日みたいに代えないといけないところでは代えるという起用になっていく」と複雑な胸中を明かした。

ここまでの阿部の起用に関してSNS上では一部の中日ファンが「これまで阿部を使い続けて復調の目は感じられない。他の選手にもチャンスを与えるべきで三ツ俣を使った方がいい」「早く阿部を二軍に落として堂上と入れ換えるべきだ」などと不満を訴えている。

チーム関係者は「内部のことを知らない者は好き勝手なことを言える。チームが勝つ可能性を考えれば阿部を使い続けて復調を待った方がいい。阿部は(バットを上下させて)ヒッチする打者だから一たびタイミング合えば固め打ちがある。三ツ俣や高松をときどきスタメンで出すのはありだが、何試合も続けて出すのは正直、厳しい。ウチはビシエドぐらいしか本塁打が期待できないし、長打もあって守備も安定している阿部を簡単に外すわけにはいかない」と反論する。しかし、別の関係者は「正直、平田のように二軍でもう一度、振り込みをさせたりミニキャンプをやらせた方がいい」と言う。簡単に答えが出せないからこそ、悩みの種になっているのだろう。

この日は元中日のチェンから6回5安打ながら1点しか奪えず、NPBでは3497日ぶりとなる白星を献上した。それでも指揮官は「カード勝ち越しは一つの大きな目安になる。一つずつ借金を減らしていくという意味では何とかいい試合が2試合できた」と前向きに話したが、一日も早く貧打を解消しないことには10年ぶりのV奪回も夢物語になりかねない。

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